【感想】『わたしの幸せな結婚(2)』顎木あくみ, 高坂りと (著)が素晴らしすぎでした。【マンガ感想・レビュー】
『わたしの幸せな結婚(2)』でました!ネットでも話題沸騰の作品です。単行本になるのを待ちきれずに、分冊に突入する人も続出してすごい人気です。
異能を持った世界のお話です。久堂清霞は、久堂家の当主で異能を持ち、帝国陸軍の少佐です。美貌の持ち主ですが、性格は冷酷無慈悲で、彼と婚約した良家の女性はみな三日と持たずに逃げ出す、と噂されています。
斎森美世は異能を持たず、斎森家では継母に使用人以下の扱いを受けていました。美世は、斎森家の政略結婚の道具として久堂家に嫁に出されることになります。
そこで美世が目にした、冷酷無慈悲という久堂清霞という人物は……。
シンデレラか、落窪物語のような「継子いじめ物語」です。
最初は、王子様役である美貌の清霞に冷たくあしらわれる美世がかわいそうで仕方がありません。でも「王子様がお姫様を救済する物語」です。美世に徐々に心をひらいていく王子役の清霞の照れっぷりがとってもいいです。二人のラブラブな様子を見ているだけで満足です。
さらに美世自身にも隠された異能がありそうです。なんたって母親が全く謎だらけの異能集団、薄刃家の出身です。いつの日か、
「美世さん、やっちゃってください!」
って感じになるのを、ウキウキしながら待ってます。楽しい2巻でした。3巻が今から待ち遠しい作品です。
<通常版です>
<特装版です。オススメ>
はじめて知った、人の“やさしさ”…。異能の家系に生まれながら、その能力を受け継がなかった娘、斎森美世。親にも愛されず、誰にも必要とされない彼女は、冷酷無慈悲と噂される、同じ異能を持つ家系の久堂家に嫁ぐことに。贅沢からは程遠い、名家の令嬢らしからぬ美世の様子に、当主の久堂清霞は興味を惹かれ、やがて美世を大切に想うようになる。けれど、異能の才のない美世は、嫁としての資格がなくて…。和風ファンタジー×嫁入り。奇跡のシンデレラストーリー。
わたしの幸せな結婚(1)
(『わたしの幸せな結婚(1)』より)
斎森家の父と薄刃家の母と政略結婚で生まれたのが美世です。母は早くに亡くなり、異能がない美世は、再婚した継母に「おしん」状態でいじめられてしまいます。
(『わたしの幸せな結婚(1)』より)
美世は、政略結婚の道具として久堂清霞のもとへ送られます。清霞は異能であり、美貌を持ってますが、全く女性にいい印象を持ってません。当然、いままでの婚約者と同じように美世にも冷たく当たってしまいます。
(『わたしの幸せな結婚(1)』より)
どんなに冷たくされても、美世には帰る家すらありません。今までの婚約者とは違う美世の様子に、清霞は心動かされ、少しずつ心を開いていきます。
(『わたしの幸せな結婚(1)』より)
美世のすぐ謝ってしまうクセに、清霞は言います。
「もう、謝るな」
美世がいつも謝らなくてはいけない不遇な家庭環境だったことを知った清霞は、今までより優しく言います。もう、自分のいる久堂家では謝らなくてもいいのだ、と。
(『わたしの幸せな結婚(1)』より)
美世と初めて一緒に朝食を食べた清霞は、美世の作ったご飯の味を
「美味い」
と一言言います。清霞のその言葉に、思わず美世は涙してしまいます。
恋愛バイブル・源氏物語いわく、愛とは戦い。美世は無自覚に、清霞の胃袋をまずは攻略してしまいました。恋愛戦略的にナイスです。しかも、ほめた直後に涙。清霞には理解できない美世の涙に、心揺れてしまいます。清霞は揺らぶられまくります。
(『わたしの幸せな結婚(1)』より)
プリティー・ウーマンな展開ですね。映画を知らない人はママに聞こう。
素材はいいのに、貧乏でいけてない女の子を、磨いて、磨いて、ピカピカにしていくお話です。いやもう、いいですね。
Love is Stronger than Pride.とか昔の人も言ってました。清霞は自分が閉ざしていた女性への心を開けてくれる美世に、プライドを超えて自分の心を不器用ながらも少しずつ伝えていくのでした。
登場人物の概略
メインの四家系、斎森家、久堂家、辰石家そして薄刃家が異能を持っています。それぞれの家は政略結婚などでその異能を維持しようとしています。薄刃家だけは特殊で、その実態すらつかめません。コミックでの人間関係を示しています。
斎森家
父 真一
長女 美世(主人公) 母は異能の薄刃家出身。だが美世自身に異能はない
次女 香耶 美世とは腹違いの妹。見鬼の才を持つ
薄刃家
実態のつかめない異能の一族。美世の母の出身。
久堂家
当主 清霞(少佐)
辰石家
長男 一志(2巻から登場)
次男 幸次
わたしの幸せな結婚(2)
(『わたしの幸せな結婚(2)』より)
1巻後半で美世がプリティー・ウーマン的な幸せを感じたのも束の間、また美世の真っ黒な心の傷か開いてしまいます。
(『わたしの幸せな結婚(2)』より)
腹違いの妹、香耶です。香耶は異能を持ち、継母と一緒に美世をいじめていました。美世は香耶と街で偶然に出会ってしまいます。この出会い以降、再び美世は自分の身の程を知り、久堂家とは釣り合わない自分を思い出してしまいます。
(『わたしの幸せな結婚(2)』より)
自尊心の低い美世は、香耶に会ってからすっかりもとに戻ってしまいます。
美世は清霞との別れを決心します。いままでのお礼に髪紐を清霞にわたすことにします。そして自分には異能がなく、使用人同様にこき使われて教養もないことを告白しようと心に決めます。たとえそれが、清霞のもとを離れる結果になろうとも。
(『わたしの幸せな結婚(2)』より)
一方、ぜんぜん女心がわからない清霞は、美世の落ち込みように困ってしまい、ゆり江に相談します。ここでゆり江は、
「女は愛されて自信をつけるのですよ」
と清霞に言います。”きちんと美世さんに愛情表現しなさいよ”ということです。やるな、ゆり江さん。美形なのに恋愛ビギナーな清霞に、ビシビシ言っているゆり江さんが実は一番の功労者です。
(『わたしの幸せな結婚(2)』より)
感動の場面です。遅まきながら、清霞の男気がようやく出てきました。きちんと二人の将来のことを、自分から口にする清霞は偉いです。でも、もうちょっと早く言ってあげれば、美世もいらす心配しなくていいのに。もう、じらされます。
この場面の裏話は特装版に漫画で描いてありますので、ぜひぜひ読んでほしいです。やっぱりゆり江がいい味出してます。
(『わたしの幸せな結婚(2)』より)
一難去ってまた一難、今度は美世が拉致されてしまいます。辰石家が動いている様子です。それを知った清霞は、美世を助けるために辰石家に乗り込みます。
これで2巻は終了。早くも続きが読みたいですね。
わたしの幸せな結婚(2)特装版
作品が好きな方は、ぜひぜひ特装版をオススメ致します!
カラーイラスト満載で、小説も漫画のサイドストーリーも充実です。これは美世が清霞の髪を結うシーンのサイドストーリーです。清霞のツインテに笑いました。
まとめ
『わたしの幸せな結婚(2)』がとても良かったです。特装版を買う価値は十分にありました。
基本は「継子いじめ物語」と「王子様のお姫様救済物語」です。美世のけなげな働きと、それを踏みにじる継母と異母妹をみて、読者は美世に感情移入してしまいます。
嫁ぎ先の清霞は、王子役なのに最初は冷酷非情で、美世の飯なんか食わん、とか言ってしまいます。でも清霞にも少しずつ美世のいいところが見えてきて、あっさり胃袋をつかまれちゃって、ホロリと涙なんか見せられて動揺します。
ゆり江の名アシストもあって、清霞と美世の二人ははラブラブ突入です。読者は美世と清霞のラブラブを見ているだけで十分ごちそうさまです。
ただ異能の血筋という因縁もあり、お話は簡単には終わりません。いろいろな家の思惑がからむ二人の婚姻が順調にいくわけがありません。これからどんな展開を迎えるか、美世の無双っぷりを予想しながら期待しています。おすすめです。
ご参考になりましたら幸いです。
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