勤務医開業つれづれ日記・3

「このマンガがすごい!2021」参加してます。あふれる”好き”を形に。マンガ感想とか書評を中心にしたブログです。

【感想】『1518! イチゴーイチハチ!(4)』 相田裕 (著) 傷つかないはずない。終わりから始まる物語【マンガ感想・レビュー】

 『1518! イチゴーイチハチ!』4巻読みました。この作品、本当にやばいですね。涙腺に直撃系です。

 

ケガで野球を諦めた烏谷くんと、会長に誘われた丸山さんは高校一年生で生徒会に入ります。烏谷くんはすごいピッチャーで注目されていたのですが、肘を故障して野球は続けられなくなります。野球とは別に夢中になれることを探そうとします。丸山さんはそんな烏谷くんを応援します。ただし丸山さんは烏谷くんに対して恋愛感情は持っていない様子(まだね)。 

 

三年の亘(わたり)会長はそろそろ進学について気になるところです。亘会長は中学まで男子に混じって野球をやっていました。烏谷くんとは中学のリトルリーグで試合をしたことがあり、ボロ負けして会長は野球をやめることにしました。高校で野球を諦めることができた烏谷くんと、逆に野球について諦めきれなくなった亘会長は色々迷いながら自分の進む道を探します。

 

自分も高校、大学と体育会系の部活でしたので『1518! イチゴーイチハチ!』で描かれている部活でのケガによる挫折とか、精神的な葛藤とか、ものすごく心に響いてしまいます。スポーツ生命が終わったところから始まるお話でこんなに胸が熱くなるとは!静かな感動を呼ぶ作品です。かなりおすすめです!

 

 

 

 

 

もし、スポーツ漫画の主人公が夢を諦めて生徒会に入ったら…? 世界の終わりの『その先』を描いた青春群像劇! 季節は初夏。 甲子園予選に向けて応援部会の サポートをする公志朗たち。 応援部長の日野江碧と生徒会長の 入学時の出会いとは? そして、会長と公志朗に横たわる 野球の因縁がついに清算される第4集 ―――開幕! 

 

 

 

 

烏谷くん(高校一年) 

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漫画の主人公、烏谷くんは高校一年生です。元・野球部員で、リトルリーグではエースピッチャー。ものすごく注目されていた選手でした。しかし無茶な練習で肘を壊し、2回の手術でも肘は治りませんでした。高校では野球をすることができず、生徒会に入ります。 

 

丸山さん(高校一年) 

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丸山さんは烏谷くんと同じ高校一年生です。亘会長の後輩で、会長に誘われて生徒会に入りました。中学の頃はバスケ部でした。中学の時、亘会長と烏谷くんの試合を偶然見ています。その試合が亘会長のリトルリーグでの最後の試合になりました。丸山さんは中学でエースの烏谷くんの輝いている印象と、高校で再会した時の笑顔がない様子の差に驚きます。

 

亘(わたり)会長(高校三年) 

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三年の亘(わたり)生徒会長は女子ながらに中学までリトルリーグでピッチャーをやっていました。徐々に男子と女子の体格の差が出てくる中学、試合で烏谷くんに打ち込まれて野球を諦めました。

 

男子に勝てなくなった亘会長と、肘を壊した烏谷くん。中学で野球を諦めた二人が同じ高校の生徒会で先輩後輩になります。ちなみに二人の間に色恋の感じはなさそうです。

 

 

 

丸山さん、それフラグだよ! 

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ん?ムカムカ

 

伏線はあるけど全然恋愛フラグが立たない『1518!』ですが、ようやく丸山さんが烏谷くんに脈あり?でもまだまだ道のりはけわしいようです。

 

 

 

まとめ

すごく丁寧な作りの作品です。

前作『GUNSLINGER GIRL』とは全然違う作風ですね。こんなお話、なかなかないです。スポーツ選手が故障して二度とできなくなってからのお話ですから。たとえるなら、あだち充先生の『MIX』の心臓病でピッチャーだった二階堂くんを烏谷くんに置き換えて主人公にしたようなお話なんですが、まるっきり別物です。 

 

個人的な話なんですが、私は高校の頃に体育会系の部活でインターハイを狙っていたんですけど、無理しすぎて左膝と腰を壊して最後の大会でレギュラーのがしました。チームもインターハイには行けませんでした。なかなかにつらい夏の経験でした。全国行けなかったからすぐに切り替えて勉強できたか、と言ったらそういうわけでもありませんでした。精神的にもなかなか安定することができずに現役の時の医学部受験は不合格し、浪人しました。 

 

青春って本当は全員がエースにはなれません。どんなに才能ががあったとしても多かれ少なかれいろいろな挫折や妥協を経験するはずです。野球をすることができなくなっても人生に終わりは来ません。そんな終わりから始まる物語です。 

 

4巻の最後に亘会長が涙するシーンがあります。丸山さん同様、自分も泣いてしまいました。あきらめて別の道を進むことも、もう一度再びチャレンジすることも難しいことです。どちらか一方だけが正解ではありません。烏谷くんも亘会長も、とまどいながらも自分の道を進んで行く姿に共感せずにはいられません。えらいよ、二人とも。

 

なかなか他の作品では味わえないタイプの感動です。気になるようでしたらかなりオススメです。

 

 

 

 

相田裕先生の前作 

[まとめ買い] GUNSLINGER GIRL(電撃コミックス) Kindle版 著者: 相田 裕 

 

 

 

 

 

 ご参考になりましたら幸いです。