【感想】『ねこまた。4巻』 (芳文社コミックス) 琥狗ハヤテ (著) いつの時代もかわいいは正義【マンガ感想・レビュー】追記:琥狗ハヤテ先生からお返事いただきました!
『ねこまた。』4巻出ました!
いつもいい味出しています。管理人は『ねこまた。』読む時って、楽しみたいのですごい時間かかります。基本4コマ漫画ですが、じっくり読ませる作品です。江戸人情小噺ですね。
特に黒ねこまたが、かわいすぎます。一軒に一匹いるねこまたが、なぜか仁兵衛の家には4匹もついています。さらに本人にも黒ねこまたがついています。縞ねこまたと灰ねこまたと仁兵衛との出会いのお話もあります。これまた寂しくて心に残るお話です。
4巻では朱鞘の浪人、三好の過去が出てきます。三好が浪人であるのも、いろいろな事情があるようです。 一つ一つのお話がじわっと胸にきます。
1年半から2年に1冊くらいのペースで刊行されていますので、2013年からゆっくり4巻まできました。寂しさの中に暖かさがある作風がとても好きです。ひさしぶりの4巻もとても良かったです。おすすめ!
仁兵衛とねこまた
(『ねこまた。』1巻より)
仁兵衛は見える系のひとです。ねこまたも見えますが、それ以外の妖しいものも見えてしまいます。「ささめの親分」とよばれる岡っ引きです。
ねこまた。4巻
いいですね。このほのぼのとした感じ。江戸の庶民の雰囲気がよく出ています。どんな家にも一匹ねこまたがいて家を守ってくれている、っていう設定もかわいくていいです。
ねこまたがいない家
ねこまたが姿を消した家は人が住むことができません。なぜいないのかはわかりませんが、そんな家が稀にあると言います。仁兵衛に理解できないねこまたの生態も多いのです。完全にお互いがわかりきらないのも、それもまたいい感じです。
京都町奉行所
京都町奉行所にもねこまたはいっぱいいます。かわいい。
かわいいに負ける仁兵衛
いつの時代もかわいいは正義
ねこまたは猫のようで猫ではありません。仁兵衛もふと気づくと、二本足で歩いたりまばたきしないし、耳的な部分が耳なのかどうなのか不明だったりして、ちょっと不気味になります。でも、おおむね無害で可愛いので最後にはどうでもう良くなってしまいます。
三好
三好は伊勢桑名藩の出身です。
藩主が定重とのことですから、第5代藩主松平定重だとおもわれます。そうすると、この事件は野村増右衛門が失脚させられ、関係者三百人以上が大粛清された野村騒動(1710年)として有名な事件だと思われます。一族四十四人が死刑にされ、2歳児も含め幼児12名も処刑されたという苛烈なものでした。
三好、逐電す
おいて いかないで
これは涙腺直撃ですね……。白ねこまたの、この一言が胸にグッときてしまいました。
伊勢桑名藩は大粛清が始まろうとしていました。三好はやむなく逐電します。藩を捨て、住み慣れた家を捨てます。そして武士としての全てを捨てて一人旅立ちます。清廉潔白で、大きな改革を成し遂げた野村様は家老たちの嫉妬で濡れ衣を着せられて一族惨殺の運命となります。三好が斜に構えているような性格なのもこんな事情が隠されているんですね。
三好家にいたねこまたは、家を捨ててまで三好についていきます。そのけなげさに涙出ます。そして白ねこまたを三好がみることができないのもまた寂しいことですよね。ねこまたが去ったので、三好家は家主が変わっても人が長く住まず、荒れ果ててしまいます。
まとめ
江戸時代の日常淡々系なのですが、日々の生活とそこに少しずつ見える人生のつらさやさみしさがじんわりと心にひびくような作品です。とくに浪人・三好はいろいろな事情を抱えていたんですね。白ねこまたが三好について行くシーンで、もう涙ですよ。
そして、ねこまたがかわいい。一家に一匹、ねこまたがいるっていう設定もかわいいですし、人間にはよくわからない部分もいっぱいあるっていうのもいいです。仁兵衛は独り身ですが、ねこまたと仲がいいので毎回ほっこりさせられます。そして今回は縞ねこまたと灰ねこまたとの二匹の出会いも描かれていましたので、ちょっとうるっときました。
また新しい5巻は2019年か2020年になると思うのですが、じっくり待ちたいと思います。ほっこりする素晴らしい作品です。そしてじわっと胸に響く作品でもあります。ぜひ気になった方は手に取ってみてください。個人的にはすごい好きな作品です。おすすめです!
追記:琥狗ハヤテ先生からお返事いただきました! これからも応援したいと思います。頑張ってください!!
丁寧に感想を書いて頂きうれしや…! 三好の関わっていた騒動はご名答です。そこまで掘り下げて読まれる方は少ないとは思いますが、気づいていただいたようで、作家冥利に尽きます…!これからもどうぞ、ねこまたをよろしくです( ´∀`)
— 琥狗ハヤテ*とっとこIxion鯖 (@kuku_hayate) 2018年1月30日
一軒に一匹憑いている人々を見守る存在“ねこまた”。でも、岡っ引きの仁兵衛の家には何故か4匹も!! さらに彼自身にも“黒ねこまた”が憑いていて…。人間大好き“ねこまた”たちが大活躍(?)のほっこり4コマ&朱鞘の浪人・三好の過去や“ねこまた”たちの数奇な運命を描いた長編を収録。