【感想】『青春のアフター 4 』 緑のルーペ (著) 心に突き刺さった作品、ついに完結!胸が痛い……(ネタバレあり)【マンガ感想・レビュー】
『青春のアフター』ついに完結の4巻が出ました!
うわぁ……。これ痛過ぎますよね。男性が女性と付き合うと、どうしても出てくる男性のエゴや中途半端な感情をドロリと濃縮したような作品です。本当に「青春のアフター」です。人生やゲームの分岐でより良い方に向かうのが自然ですが、もしもバッドエンドにむかう方を選んでしまったらそのあとはどうします?リセット?クリア?やけくそ?
まことくんは失踪した初恋のさくらちゃんのことを追いかけています。でも30歳になって諦めてみい子と付き合い始めます。そしてまことくんが32歳の時、さくらちゃんは高校生のままタイムスリップして来ます。初恋と現在の恋の間に揺れるまことくんは一体どうするのでしょう?
まことくんはきちんと初恋の後始末をつけることができるのでしょうか?さくらちゃんとまことくん、みい子、辰巳の4人の幸せはどこに焦点を結ぶのでしょうか。それともいったい?もう切な過ぎて胸に突き刺さる作品でした。ものすごい読者は限定されますが、どえらいオススメでした!
高校生のままのさくら、32歳になった鳥羽と倉橋、鳥羽の婚約者・みい子。大人の修学旅行は、4人を思いもよらぬ方向へ・・・。 長い年月を経て、こじれてねじ曲がってしまった青春の後始末を、彼らはどう終わらせるのか――!?
<当ブログ1〜3巻までの感想です>
kaigyou-turezure.hatenablog.jp
注意: 管理人は『青春のアフターIF』を未読の状態でこの感想を書いております。聞いたところによると、IFにもいろいろと緑のルーペ先生がかかれたことが色々あるようですから、入手次第また更新したいと思います。
ゆれるバリ島の4人
インドネシア、バリ島に行けなかった修学旅行をしにいくさくらちゃんとまことくん、みい子、辰巳の4人。そこになぜか辰巳の昔の恋人の澤さんが加わって5人になります。3巻ではさくらちゃんが姿を消し、まことが追いかけます。結婚の約束してる女の子がいるのに、他の娘追いかけちゃダメじゃん!
まことくんと結婚の約束をしたみい子の雰囲気は最悪になります。当たり前だ!ゆれるみい子はさくらの申し出をうけます。さくらはみんなの前から姿を消す、その前にまことくんと1日デートしたいということです。
「別に帰ってこなくていいから」
みい子はまことくんに言い放ちます。うわぁ。これ女の子がブチ切れてる発言です。絶対、緑のルーペ先生が昔女性から言われたことあるな!この段階でよく読むといろいろな条件が入り乱れています。すでにこの時点では、さくらはさくらではないかもしれません。
痛みは16年をこえてふたたび
さまざまな事態が重なります。まことくんの交通事故、さくらちゃんが二人、そして事故現場からまことくんと二人のさくらちゃんのうちの一人が消失。のこったもうひとりのさくらちゃんも姿を消してしまいます。
取り残された辰巳とみい子の2人は日本に戻り、みい子の過去を探します。そして与太話だと思っていたさくらちゃんのタイムトラベルの話を信じるようになります。
忘れて、そして忘れられない
交通事故で16年後に飛ばされるまことくんとさくらちゃん。傷を負い、記憶を失ったまことくんをさくらちゃんが看病します。そしてバリ島にそのまま居ることにした二人。金髪のまことくんが徐々に黒髪に戻っていきます。純粋にさくらちゃんだけが好きな時のまことくんは全然頼りなくて、でも迷いがありません。まことくんは記憶を失いウソがなくなり、自分の心に素直になります。
傷つけ合うことしかできない夜
さくらちゃんとまことくんが初めて一緒の夜を超えるシーン。そんな幸せなシーンですら、二人の愛の形は切な過ぎます。
まことくんは直後に記憶をとりもどします。まことくんがさくらちゃんへの一直線な愛情を持ったシンデレラタイムはここで終了してしまいます。みい子がいることを思い出したまことくんは日本へ帰ることを決意します。
そして二度と会えない
16年経って日本に戻って来た二人はさくらちゃんのボロボロな実家に戻ります。まことくんはさくらちゃんが止めるのも聞かずに向かった先には何があったのでしょう?そしてさくらちゃんはどこへ向かうのでしょう?
もう、さくらちゃん泣くなよ!
……いやもう切な過ぎて、言葉にできないね。
緑のルーペ先生の作品はこころに刺ささりまくります。前作のこいのことばとか、絶句するレベルですよね。今回の「青春のアフター」も多分、どでかい傷を負う人がいっぱい出るんじゃないのかなと思います。いやもうこの作品、すごい心に響いてしまいました。
男性がやらかす恋の失敗。やっちゃいけない選択を好きな女性の前でやってしまったり、一番大事にしなくちゃいけない人の前で浮ついた気持ちを出してしまったり。揺れちゃいけないシーンで動揺したり。そんなミステイクがひとつひとつの愛を歪めていきます。みんな寂しがりやで、わがままで、だからみんな一人ぼっち。どこにも出口がなくて、一度ミスするとそのあとどんなに頑張っても正解に届かなくなってしまう。
胸が締め付けられるお話です。ほんとうに心に残る作品でした。まだ胸がドキドキしています……。緑のルーペ先生、完結おめでとうございます!こんなヤバい作品、ありがとうございました!!
<以下、超ネタバレあります>
『青春のアフター』で心が傷ついたみなさん、読み直しましたか?作品中にいくつか疑問点があるかとおもいます。私が気づいた範囲内でトリックやネタバレをしていきたいと思います。
ご注意!完全にネタバレになりますので、先にオリジナル本編をお読みいただくことを激しくお勧め致します!!
では、いいですか?
1)さくらの最後のセリフの意味
(青春のアフター4巻より)
聡明なみなさんならお分かりですよね。最後の樹は桜ではなく、じつは梅です。
「豊海高の化け桜……そんな名前付いていたんだ」
1巻からお読みの方はわかると思いますが、ここが32年前にさくらちゃんがタイムスリップした場所です。それ以来、この桜だけが早く開花するという豊海高の化け桜の伝説があります。
桜ではなく実は梅……?
さくらちゃん→梅子???
そう、ここで”さくらちゃん”は”梅子”になったに違いありません。これ以降も何度もタイムスリップを繰り返して、さくらちゃんではなく梅子としてまことくんの前になんども現れていたに違いありません!このラストシーンがさくらちゃんの折り返し点になっているんです、きっと。
2)あとがきの最終のコマはどこにつながる?
(青春のアフター4巻より)
『青春のアフター』最後のコマがコレです。これは2巻のこのコマにつながります。うわー、芸が細かい!!
(青春のアフター2巻より)
この時点でさくらちゃん=梅子は16歳のはず。自分のタイムスリップもまことくんの事故とタイムスリップも記憶喪失も最後に別れるるところまで、全てを経験しています。全部経験済みの16歳。
まことくんもこの時点で16歳。さくらちゃんがいなくなって呆然としている16歳。でも同じ年だよ、さくらちゃん!ここで全部知らない顔で「戻って来た」って一言言えばそれで済むのに!!
さくらちゃんはまことくんとの二人の結末まで全部知っていて、そして梅子としてまことくんの中に消えない傷として残ることを決意したんだね。あまりに切ない愛の形です。涙出てくるね。
そして2巻のまことくんの記憶のさくらちゃんはやさしく微笑んでいるのに、実際の4巻のさくらちゃん=梅子は目に涙を浮かべてさみしく笑っています。この表情の違いが2巻と4巻で積み上げて来た内容の違いなんです。あー、この愛の終わりを知っている。そしてあんなにさみしがり屋なのに、次にまことくんに出会えるまで梅子は一人なんですね。
3)さくらちゃんと梅子のタイムスリップはどこで起きている?
1巻 お話の最初16年間とんだのと、第6話でお酒を飲んでいてタイムスリップした。
(青春のアフター1巻より)
2巻 1巻でタイムスリップしたさくらちゃんは、梅子とまことくんがいる美大時代にたどり着きます。
まことくんと梅子の情事に衝撃を受けたさくらちゃんは再びタイムスリップします。
(青春のアフター2巻より)
そのほかにタンスを開けた痕跡があり、4巻ラストから2巻に飛んだと思われるコマがあります。
3巻 飲み会中、さくらちゃんのタイムスリップで入れ替わりで梅子が入ってきます。さくらちゃんは一瞬、まことくんのベッドの上にいますが、またすぐ飛んでしまいます。
↑ここで、さくらちゃんそっくりの梅子登場。
だから、3巻ラストの衝撃のキスシーンは多分梅子。以前にも何度もまことくんとは肌を重ねているからキスにも遠慮がありません。多分、上で載せた「褒めてくれる?」っていう4巻のシーンがさくらちゃんにとってはファーストキス、じゃないかな?
4巻 3巻と同じ場面の再現、ホテルのベッドの上、そしてまことくんと交通事故(上の傷だらけのまことくん)
(青春のアフター4巻より)
さくらちゃんは飛びまくって、梅子も飛びまくって、見た目がほとんど一緒だからみんな混乱します。しかもさくらちゃん(16)=梅子(20)の同一人物です。
精神的動揺とアルコールでタイムスリップするようです。梅子曰く、タバコを吸うことで精神を落ち着かせるということなので、梅子はいつもタバコを吸っています。
管理人も結構混乱しましたね。とくにさくらちゃんと梅子を別々に認識したところから全く別の話が飛び出して来たような印象を受けました!すごいです、この作品は。
4)最終話でみんな何歳?(1巻→作中→4巻)
まことくん 16→32→32歳
さくらちゃん 16→16→16歳
みい子 28→28→44歳
辰巳 16→32→48歳
みい子は第3巻14話で28歳、梅子(未来のさくらちゃん)は第2巻10話で20歳で独身フリーターです。
以上、大幅にネタバレを追記してみました。とにかく最初の印象だけでもすごいのに、梅子の存在を意識して読み込んだら、さらにゲロ出そうな作品になりました。みなさんに傷として残るか、美しい思い出として残るかわかりませんが、とにかくすごい作品だと思います。
『青春のアフター』みなさんにとってバッドエンドでしたか?ハッピーエンドでしたか?良い読書を。
追記1:
『青春のアフターIF』が同人誌としてとらのあなとメロンブックスで販売予定です!8月中旬発売予定とのことです。お見逃しなく!
追記2:
緑のルーペ先生の『こいのことば』がいま、ポイント50%還元していますね。実質半額セール中です!
6畳2間の秘密の恋。 美少女・悠里と漫画家の「せんせー」が繰り広げる、切なくてエロティックな物語。 WEB連載空間「ぽこぽこ」にて大反響の本作が、おまけページを加えて単行本化!
追記3: 当ブログの1から3巻までの感想記事です。ご参考にしてください。
kaigyou-turezure.hatenablog.jp
ご参考になりましたら幸いです。