勤務医開業つれづれ日記・3

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【訃報】『五時間目の戦争』優 (著) 残る人と残される人、別れの切なさに……【マンガ感想・レビュー】

2017.07.01に優先生が亡くなられたと本日9月25日にご主人がTwitterで報告されました。優先生が亡くなられたのを知って、自分はものすごいショックを受けてしまいました。予想以上に精神的にダウンしてしまっています。

 

 

 

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ご主人のツイッターに書かれた優先生のオリジナルの『五時間目の戦争』を再読しています。最終4巻が出た時に記事を書けなかったことがいまさらながらに悔やまれます。ハートは動いたんです。でもちょっと書けなかった……。

 

『五時間目の戦争』は大好きなのに残していかなくてはいけない、一緒に行くことができない、別れの物語です。そして残された人の感情を描いている作品でもあります。「必ず戻ってくる」といいながら戻れないことを知っている優しいウソ。会いたいのにもう二度と会えないのはわかっている。でも残された人には元気に頑張って欲しい。ご病気をされていたという優先生のそんな思いがもしもこの作品に託されているとしたら、読者の受ける印象も違ってくるのではないでしょうか?

 

『五時間目の戦争』について書いていきたいと思います。

 

 

 

<1巻>

双海 朔

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主人公の一人、朔くん。足が速くてハードルの選手です。全国大会にも出場しています。


安居島 都

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安居島さんは朔ちゃんの幼なじみ。運動神経はあまり良くなくて朔くんと一緒にいます。お母さんもおばあちゃんも死んで、小さな兄弟たちといっしょに生活を切り盛りしています。

 

篠川 零名

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東京から疎開して来た女の子。本土で行われている”戦争”を知っています。島で最初の出征が篠川さんでした。朔くんは篠川さんのことが気になって仕方ありません。

 

ほのぼのとした日常の中に戦争の影が忍び寄ります。いままで島からは出征がありませんでした。でも金曜日の5時間目が戦争の時間になります。

 

<2巻> 

関前 誠

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クラスでいちばんの秀才。冷静沈着でこの戦いの意味を考えています。篠川さんの次に出征します。

 

喜多山 ショウ

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朔くんの幼なじみで同じ陸上部。

安居島さんが好きで朔くんとの友情と安居島さんとの恋心で揺れてしまいます。喜多山くんも関前くんと一緒に出征します。

 

 

朔のお母さん

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朔ちゃんのお母さんはお父さんを追って本土に行って被災し、顔にやけどを負います。お母さんは時々、安居島さんの育児を手伝います。

 

お母さんって顔にやけどの傷跡がありますが、それでもお父さんはお母さんが好きっていってくれます。ご病気だった優先生がどんな思いで描いていたのか、胸が詰まります。病気で変わっていっても好きでいてね、と言われているような気がしてなりません。 

 

<3巻>

長谷川さん

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篠川さんと同じように東京から疎開してきた長谷川さん。出征して本土で敵と戦います。敵を倒した長谷川さん。でもその敵の姿は見知ったクラスメイトと同じでした。

 

自分と同じ姿の人が死ぬ。自分自身の死んだ姿を見る。友人が自分と同じ姿の死体を見る。実際に病気をわずらっている人にとっては悪夢のような体験です。優先生は病気や死にどうやって向き合っていたのでしょう。

 

 

衣山さんと安居島さん

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衣山さんはあだ名がかおちゃん、でも名前がはっきりとはわかりません。衣山さんは理性的な関前くんが好き。でもなかなか告白できません。

 

衣山さんにはきちんと守ってくれる人がいたんだね。きっと優先生も旦那さんや家族が一生懸命に守ってくれていたに違いありません。

 

 

関前くんと夏目さん

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衣山さんは関前くんが好きです。でも告白できなかったんですけど、あれ?

どこにもそんな描写がないので深読みかもしれませんけど、関前くんは夏目さん(=エマちゃん)が好き?関前くん、表情がなさすぎです!

 

衣山さん(かおちゃん) → 関前くん → 夏目さん(エマちゃん)??

 

あれま!あくまで推察ですけどね。

 

3巻あとがき

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3巻のあとがきで体調不良のことが書いてありました。このころから調子が悪かったんでしょうか。読み直すと胸がつまりそうです。

 

<4巻>

朔くん、泣く

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なんだか4巻は切なすぎます。朔くんは篠川さんが好き。そしてその思いが届きます。でも出征予定の幼なじみの喜多川くんの身にトラブルが起き、篠川さんが代わりに再度出征することになります。

 

篠川さん

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ツンツンだった篠川さん。でも朔くんにだけは少しずつ心を開いていきます。クラスメイトはどんどん出征して戦場に行きます。そしてほとんど帰ってきません。再び篠川さんにも出征命令が下されます。二度とは戻ってこれないことは二人ともわかっているはず。でも篠川さんは朔くんに生きて帰ってくると約束をします。二人ともわかっているはずの優しいウソ

  

最初で最後の告白 

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朔ちゃん

私ね

前からずーーーっと

朔ちゃんのこと

大好きやったよ

 

だれも、だれも戻りません。一巻のラストに書いてあったように”絶滅戦争”がこの戦いの本質です。

 

このあと安居島さんは「殺してください」って言います。告白して、そして殺してくださいって、もう読んでいて涙ダダ漏れです。優先生はどんな気持ちでこのシーンを描いていたのでしょう?安居島さんは他に誰もいなくなった世界で告白して、死を覚悟します。途方もない戦争が今、たった二人で静かに終わろうとしています。 

 

ラストで朔くんと安居島さんはどうなるでしょう?ぜひ作品を読んでいただきたいです。

 

『五時間目の戦争』は決して評価が高い作品ではありません。設定に無理があったり、戦争を題材にしているのであまりに多くの人が死にます。でも優先生が闘病しながら描いていたことを考えたら、ひとつひとつのシーンが別の意味を持ってくるような気がしてなりません。

 

残して去らなくてはいけない人、そして残される人。別れのあまりに切ない気持ちを込めた作品のように感じます。

 

 

 4巻あとがきラスト

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また新しい作品でお会いしましょう。

 

 

優先生の作品に出会えてよかった。そしてこれからも本当にいっぱいいっぱい優先生の作品を見たかったです。残念です。残念で仕方ありません。優先生のご冥福をお祈りいたします。

 

合掌 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ご参考になりましたら幸いです。