勤務医開業つれづれ日記・3

雑記ブログです。マンガや書籍、医療関係について書いてます。サブブログ「院長の漫画カルテ」https://manga-karte.hatenablog.comで【速報】中!

【感想】『コウノドリ(20)』 鈴ノ木ユウ (著) キスよりハグを! サイトメガロウイルス母子感染症についてちょっと知ろう【マンガ感想・レビュー】

『コウノドリ』20巻でました!

はやいですね、あっという間の20巻です。毎回、色々と考えさせられるケースが多くて(紹介したいな、でも自分的に重いな……)とか思っちゃうことが多いです。医療関係者からしたら毎日かかわっている現場をもう一回話をしよう、というのは結構つらいことも多いです。 

 

今回はあまり知られていないサイトメガロウイルスの母子感染についてのご紹介です。医師でも知らない先生多いかと思います。先天性サイトメガロウイルス感染症の場合、一番の障害は難聴です。精神発達遅滞なども合併しやすいです。妊娠中に上のお子さんから妊婦さんが感染して、お腹の赤ちゃんがサイトメガロウイルスにかかってしまうのです。

 

予防するポイントは2人目以降の妊娠中に、

・上の子の食べ残しを食べない。

・上の子の口にキスしない。ハグは大丈夫。

・おむつ交換、よだれや鼻水の処理の後かならず手を洗う

これを守るだけで感染頻度が1/10ぐらいに減ります。

 

こういう情報ってネット上には大量にありますが、伝言ゲームになっていて信頼できるソースが書いていないことがほとんどです。当ブログの記事では国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED) 成育疾患克服等総合研究事業 「母子感染の実態把握及び検査・治療に関する研究」班の情報をベースに書いております(後述)。

 

ちょっとしたことで予防できる感染症です。ぜひ注意してください! 

 

 

 

 

 

 

母子感染症 

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妊娠って現実味ないかもしれませんけど、実際に妊娠したら色々なことがいっぱいおきてきていろいろ調べたりする余裕はあまりないと思います。ですから妊娠する前に母子感染症、つまりお母さんが感染してしまうとお腹の赤ちゃんに影響が出る病気についてちょっとでも知っておくことが大事だと思います。

 

医療現場の声 

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ああ……。つらいですね。

医療現場っていろいろな疾患を持った方々に会う場面がとても多いです。

 

私が個人的に「基礎的な医学を義務教育にするべき」と主張しているのは、科学的に証明されているのに単に知識がないために本当に多くの人が不利益を被っている点と、医学の進歩はあまりにも早く、医師が病気について説明しても一般の人には呪文のようにしか聞こえないという知識の差が大きすぎる点です。

 

知らないで大変後悔している人が多くいます。保健体育というより理科、生物学としての医学を学ぶようにする必要があるのではないでしょうか。

 

 

 

サイトメガロウイルス

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今回はサイトメガロウイルスによる母子感染症と、トキソプラズマについてのお話です。当ブログではサイトメガロウイルスについて取り上げます。

 

先天性サイトメガロウイする感染症による障害

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この漫画では取り上げられていませんが、いちばんの合併症は難聴です。進行性難聴であり、徐々に聞こえなくなってしまいます。そして精神発達遅滞を合併する場合が比較的多いです。アメリカでは子供の難聴の30%がサイトメガロウイルスによるものと考えられています。

 

 

予防

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簡単に言うとサイトメガロウイルスに対して、

 

・お母さんの70%は抗体があるから大丈夫

・お母さんの30%は抗体がないから妊娠中に感染すると大変

 

・子供が感染していることが多い。

・すでに生まれている上の子供からお母さんが感染しちゃう。

・上の子どもの唾液とおしっこにサイトメガロウイルスがいる。

 

ということです。だから妊婦さんが先に生まれた子供の唾液と尿に触れないようにするといいのです。ちなみにサイトメガロウイするについて妊婦さんと臓器移植の時以外は、かかってもあまり心配はありません。

 

 

繰り返しになりますが、予防するポイントは2人目以降の妊娠中に、

・上の子の食べ残しを食べない。

・上の子の口にキスしない。ハグは大丈夫。

・おむつ交換、よだれや鼻水の処理の後かならず手を洗う

これを守るだけで感染頻度が1/10ぐらいに減ります。

 

上の子に対してい、

妊娠中は、キスよりハグを! 

ってことですね。 

 

 

 

 

 

 こちらが公的機関のパンフレットです。

http://www.med.kobe-u.ac.jp/cmv/pdf/pnf5.pdf

http://www.med.kobe-u.ac.jp/cmv/pdf/pnf5.pdf

 

国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)

成育疾患克服等総合研究事業 「母子感染の実態把握及び検査・治療に関する研究」班 

ということろがパンフレットを作っています。

 

HPも充実していますのでぜひ参考にしてください。

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母子感染の実態把握及び検査・治療に関する研究班

 

 

 

 

追記:先天性サイトメガロ感染症の最新情報


補足です。専門的なお話になるのですが、2017年7月に神戸大学の研究班でサイトメガロウイルスの新しい研究が発表されました。従来、サイトメガロウイルスの免疫がなくて初めて感染したお母さんから赤ちゃんに感染する、と言われていましたが、今回の研究では前からサイトメガロウイルスに感染して免疫があるはずのお母さんからも赤ちゃんにサイトメガロウイルスが感染している可能性が示唆されました。

 

お母さんの持続感染による赤ちゃんへの感染症の可能性があるということです。割合も比較的多い可能性があります。そうなると将来的にこのブログで紹介した手法が変わる可能性があります。 一応、そういうけんきゅうもすすんでいます、ということで。

 

 

 

 

まとめ

いろいろと専門的なことを書いてしまいましたが、ちょっとしたことを知っているか知らないかで大きな差になることがあります。変に不安にならずに正しい知識を一人でも多くの人に持って欲しいです。 

 

「コウノドリ」は大ヒットしていますから手に取っている人も多いかと思います。とくにこれから妊娠を考えているカップルの方は手に取って欲しい作品だと思います。おすすめです。