勤務医開業つれづれ日記・3

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【感想】「偽伝太平記 バンデット(1)」河部真道 700対2の戦!鎌倉時代末期の悪党、骨太でかっこいい!【ネタバレ漫画レビュー】

 

 

これはびりびりきたな!

すごい骨太な悪党が出てきました。河部真道先生は初連載なのにすごいですね、この力強さ!!

 

鎌倉時代末期の1323年、六波羅探題の直轄地である播磨国赤松村から話は始まります。この時代は特に西国で悪党がはびこっていて、鎌倉幕府の力もかなり弱っていた時代です。

 

猿冠者と石の二人が絶体絶命の状況で出会います。彼ら目指すのは武装した村一つ分を相手にした「700対2の戦」です。

 

バンデットはご存知のように「悪党、山賊」です。サブタイトルの「偽伝太平記」とあわせて込められている泥臭さ、きな臭さがいいです。

 

 

 

バンデット(1) (モーニングコミックス)

 鎌倉時代末期。商人にこき使われる奴隷身分の下人・石は、ひょんなことから武士にとらわれた謎の男・猿と出会う。協力し合ってなんとか自由を手に入れた二人。しかし、猿の口から出たのは、信じがたい言葉だった。「これから、700対2の戦を始める」太平の眠りをぶち破る驚天動地の歴史活劇が開幕!

 

 

鎌倉末期の悪党 

 

物語の時代は鎌倉末期、1323年から始まります。悪党がはびって、鎌倉幕府は徳政令を連発してぐちゃぐちゃの時代です。いままさに時代の権力がひっくり返ろうとしているタイミングです。

 

1323年 いまここ

1324年 正中の変 後醍醐天皇による倒幕未遂事件 1年後

1331年 元弘の乱 後醍醐天皇による倒幕 8年後

1336年 南北朝時代 13年後

 

 

ちなみに大塔宮様は後醍醐天皇の息子で、のちの護良親王です。

赤松入道円心は赤松則村であり、のちの元弘の乱(1331)で護良親王の令旨を受けて反幕府勢力として挙兵します。

 

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開始の見開きから石の悪党宣言でスタートします。これって8年後の元弘の乱でしょうか?

 

 

 石

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下人として死ぬほどこき使われてきた石。兵隊におそわれて自由を得ます。このとき15歳。あ、8年後の元弘の乱で23歳ならちょうどいいな!

 

と思ったのもつかの間、石は赤松村で捕まってしまいます。盗賊の一味として処刑されることになってしまいます。一緒に処刑される猿冠者と出会い、逃亡の作戦を練ります。

 

 

猿冠者

 

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「700対2の戦を始めるんだよ」

 

石と同じく捕まっていた猿冠者。これが曲者で何を考えているのかわからない。猿冠者が石に吹き込むめちゃくちゃな作戦はすごくて底が見えない。でも、一歩間違えば死ぬことだけはわかる。

 

 

 

赤松入道円心

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このハゲが赤松入道円心。

 

そう、猿冠者と石の相手は赤松入道円心、のちの赤松則村です。たんに700対2の戦だけじゃなく、相手ものちに歴史に名を残すようなとんでもない武将です。

 

 

赤松入道円心は護良親王の令旨をうけ倒幕に立ち上がり六波羅探題を攻略するし、建武の新政で政争に巻き込まれて落ち目になっても足利尊氏に乗り換えて、新田義貞6万を相手にたった2千で押さえ込むという荒技を演じたりします。

かなり軍事的にやんちゃなオヤジ。

 

 

 

この赤松入道円心と猿冠者が食えない連中なんだな。

お互い感情で憎くて相手を殺すのではなく、純粋に戦略として手駒として生き延びさせたり、相手の手の内を読んで自分を生かしておく価値を訴えたりします。

 

石だけだったらすぐにクビが飛ぶような状況でも、猿冠者は二段三段に策を練ります。ここらへんの駆け引きが面白いです。

 

 

この歴史的なカオスの時代と、武骨な絵と内容があっていて面白い作品が出る予感がします。1巻はなかなか読ませる内容で注目の作品だと思います。

おすすめです!