勤務医開業つれづれ日記・3

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【感想】『ロッタレイン 3』 松本 剛 (著) 全3巻完結。短い夏、土砂降りの雨、そして君。【マンガ感想・レビュー】

 『ロッタレイン 3』出ました。3巻完結です。

 

松本剛先生の作品はいっつも心えぐられます。主人公たちの心を社会は認めてくれません。小さなことが重なりながら、社会の歯車が追い詰めていきます。

 

管理人は基本的に破滅系の漫画を読むのが本当に弱いのですが『ロッタレイン』は読まずにいられませんでした。心に刺さりすぎます。

 

13歳の少女と30歳の許されない恋。短い夏、土砂降りの雨の中の激しい恋に追い詰められた二人は最後にどのような決断をすることでしょう?せつなく胸に深く響く作品でした。おすすめ。

 

 

 

 

兄と義妹、男と女。ひと夏の純愛物語、完結 義妹・初穂(はつほ)への想いを自覚し苦しむ一(はじめ)と、躊躇せず一を気持ちをぶつける初穂。今までお互いみつけられなかった「居場所」となり、深まってゆくふたり。「高校を卒業するまで、待つ」―――未来への約束を交わすが、悪意に満ちた匿名の告発文が職場と学校に届き……?とめられないふたりと、それを許さない周囲。追いつめられた一と初穂が向かった先は……。静かに熱く紡がれる、かけがえのない〈ふたり〉の物語、堂々完結。

【編集担当からのおすすめ情報】 出会いは初夏。いくつもの雨を乗り越えて、夏の盛りを迎えた長岡。もがき苦しみながらも、お互いの心を確かめ合ったふたりが出した結論は……。圧倒的筆力で描ききる衝動と純情を、体感してください。 3か月連続刊行記念、1~3集を集めて応募すると必ずもらえる漫画小冊子全員プレゼント企画あり(紙版/初版のみ)。 

 

 

 

<1巻>

 

第一話扉絵

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第一話の扉絵から二人のシーンになっています。身を寄せ合う二人はお互いの色が混じり合っているようです。

 

ロッタレインの意味

ロッタレイン LOTTA RAIN = a lot of rain

土砂降りの雨のことですね。ロッタレインでは要所要所で雨のシーンになることが多いです。新潟の日本海側特有の雨です。

 

玉井一(たまいはじめ)30歳。東京在住で、バス運転手として働いていましたが事故を起こしてしまいます。

  

初穂 

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唇が赤く透き通っていた。

それが山口初穂を見た最初だった。

 

山口初穂(やまぐちはつほ)13歳、中学1年生です。新潟県長岡市に在住。父親が再婚した相手の連れ子です。30歳と13歳、年の離れた兄妹になりますが血はつながっていません。

 

一は育ててくれた母が死に、事故で仕事を失い、恋人とも別れて一人っきりになってしまいます。しかし幼い頃に母と離婚した父親がひょっこりあらわれて、一緒に住もうと言います。

 

第一話で”五月場所”という記載がありますので、季節は春です。物語は5月前後に始まります。

 

幸せなんて

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一は新潟に行くことにします。自分が知らない新潟の家庭と初穂の拒絶。そして事故のフラッシュバック。いろいろなことが一を苦しめます。

 

もうあんなこと

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初穂は父が再婚した相手の連れ子で、最初は一が家に来るのに反発しました。一は本宅の人間で自分は二号宅。でも徐々に一に対して心を開いていきます。

 

初穂のことが好きな同級生の奥野君が暴走しはじめます。

 

 

 

 

 

<2巻>

君と二人で

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新潟の家でも、父の再婚相手が急に亡くなります。 父と一、そして弟の澄也は血がつながっていますが、お母さんがなくなったので前の夫との子供である初穂だけは誰とも血がつながっていません

 

人気者の奥野君が初穂のことが好きで、初穂は二号宅の娘であることから、中学で初穂にいじめが起きます。

 

 

小出蛍子さん 

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短大出で、一度は就職したけどいまはコンビニバイト中。一に親戚の仕事をしょうかいしてあげます。

 

小出さん、いい子じゃん。管理人は小出さんが好きです。

 

 

ずっと、いてくれる? 

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ずっと、

いてくれる?

 

父は再婚した母が亡くなってからふさぎ込んで仕事に行けません。初穂は母が亡くなり、学校ではいじめられます。さらに奥野君は暴走して初穂は追い詰められて行きます。一は新潟で配送の仕事を見つけます。初穂を取り巻く環境は、急に大きく変わってしまいます。 

 

そして初穂と一の距離は急に近づきます。

 

 

<3巻>

心配の先

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初穂はどうしようもなくなって学校から家に戻りません。一は初穂を必死に探します。ようやく初穂を見つけます。

 

「心配させるなっ」

 

抱き寄せたのは家族のつもり

でも、抱き寄せて気づきます。ふたりとも別な感情に気づいてしまいました。自分の気持ちがあふれ出してしまいます。初穂はその気持ちをストレートに一にぶつけます。一は何度も押しとどめ、迷っていた初穂に対する自分の気持ちを再確認します。

 

 

どこにも帰る場所はない 

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背中に住みたいな。

 

 

奥野君が暴走して二人はどこにも居場所がなくなります

一は職を失い、家にもいることができなくなります。初穂も学校にいることができなくなります。一が初穂といることすらも問題になってしまいます。

 

 

雨も降らない 

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あったかいし、

雨も降らないし。

 

 

東京に逃げ出す二人。でもここにも居場所はありません。民生委員、児童相談所、義務教育、いろいろなものが二人を追いかけて行きます。そしてついに二人は離れ離れになってしまいます。

 

 

 最終話扉絵

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最終話のふたり。途中で線が消えてふたりの境目がなくなっています。まるで二人がひとつになっているよう。こういう描写はほんとうにすごいですよね。胸に迫ってきます。

 

8月2日、3日の新潟県長岡の大花火大会。一は初穂を見つけます。初穂は一に気づきません。弟の澄也が一に気づきます。澄也は一とは血がつながった兄弟ですが、年齢もずっと離れています。再び初穂の前に現れた一を澄也は突き飛ばします。

 

最後に初穂と一は一体どうなったでしょう?二人は一体どんな決断をすることでしょう?

 

 

まとめ

物語は5月から8月までの短い夏のお話です。そしてタイトルがロッタレイン=土砂降りの雨。土砂降りの雨の中の13歳と30歳のせつない短い夏の恋です。

 

父親は昔、不倫して社会的に問題のある形で再婚します。そして今回、息子である一が好きになってしまった初穂は13歳で、しかも自分の相手の連れ子で妹です。父が自分のやった不義理な許されない恋を、今度は息子の一が別な形でやってしまいます。父親は自分がやったことを棚に上げて一を叱り飛ばします。父がしたことの相似形を一はしています。

 

一と初穂の関係は誰にも認められません。30歳と13歳ですから当然です。二人は引き裂かれてしまいます。これから初穂は成長していきます。どんどん変わっていくことでしょう。そしていま二人が出した結論は最終的にどういう結果になるかはわかりません。13歳が高校を卒業して大人になるのにはいくつもの変化が待っていることでしょう。

 

最後の二人の決断は一体どこへ向かうのでしょう?どのように変化していくことでしょう。この二人の想いに未来があるのか、あるいはそのまま美しい思い出として終わっていくだけなのでしょうか。

 

誰からも許されない恋は時間をかけることだけが解決方法です。でもそれは人生の中で最も変化に富んだ時間です。すべての答えは時間だけが知っています。そしていつも二人の上に降りしきる雨。

 

切なさに満ちた作品でした。胸に刺さりました。おすすめ。 

 

 

 

 

<試し読み> 

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