勤務医開業つれづれ日記・3

「このマンガがすごい!2021」参加してます。あふれる”好き”を形に。マンガ感想とか書評を中心にしたブログです。

【感想】『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』田中 圭一 が冗談抜きに本当にまじめで素晴らしい作品だった件【ネタバレ漫画レビュー】

 

えっ!?あのお下劣で最低漫画を描く田中圭一先生がウツ???しかも内容が超マジメ?びっくりです。すごく読ませる、すばらしい漫画でした。

 

実際にウツになった患者さんとして、苦しんだことやどうやったらそこから抜け出すことができたのか、仕事や家族、なにより自分とどう向き合ってきたのか、自分の経験だけではなく18人のレポートが描かれています。

 

田中先生が本当に良心的に描いていて、リアルな闘病記にありがちなウツの症状に引っ張られるような表現はなく、「自分を好きで大丈夫」というメッセージにあふれています。これは現代で心が疲れている人、必読だと思います。

 

 著者自身のうつ病脱出体験をベースにうつ病からの脱出に成功した人たちをレポート。うつ病について実体験から知識を学べ、かつ悩みを分かち合い勇気付けられる、画期的なドキュメンタリーコミック! 

 

 

1話から4話をnoteで試し読みできます。

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あんなに過激で最低な漫画を描いている田中先生がウツだったとは……。 

 

 

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いままでの職業も漫画のネタにしていた田中先生ですが、実は自殺も考えるほどのウツの状態が10年近く続いていたのです。

 

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ウツのトンネルから抜け出した多くの人の経験を描くことで、同じように悩んでいるウツの人たちに出口を見つけて欲しい、ということでこの作品を描かれています。

 

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もくじにもあるように多くの方が漫画に登場します。大槻ケンヂ代々木忠宮内悠介、鴨川良太、ゆうきゆう、まついなつき熊谷達也内田樹一色伸幸など18名、21回分のレポートが載っています。

 

小説家の宮内悠介先生もウツなんですね。作品、大好きなんですが、知りませんでした。

 

内田樹先生もウツだったとは。合気道の印象が強くて、お子さん連れて離婚されていて、ウツとは知りませんでした。

 

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大槻ケンヂさん

そういえば、大槻ケンヂさんもすごい小説書くけど、別のインタビューで小説書くと蕁麻疹出て体調崩すって言ってましたね。やっぱり才能ある方だと思います。

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宮内悠介先生

宮内悠介先生の盤上の夜 (創元SF文庫)ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワ文庫JA)、すごいい作品です。

 

「うつは心の風邪」といいう標語が広く知られていますが、『うつは心のガンだ!!』(第19話)という表現に心打たれました。

 

 

そう、ウツはきちんと治療をしないと患者さんが死んでしまう心のガンなんですね。

 

心の風邪」という表現は「だれにでもウツは起きる。そうなったら病院に行くのは当たり前なんですよ。大丈夫」という啓蒙活動としては本当に大きな役目を果たしたと思いますが、ウツが「風邪程度でこんなにながく休んでもらっちゃ困る」「風邪ならちょっとぐらい頑張れ」という、本来の目的とは逆のイメージも持たれている場合があります。

 

 

「ガンなら死ぬかもしれないよ」「仕事よりガンの治療が優先だよね」、そういう意味で、『心のガン』という言い方は標語と実際のウツとのギャップのモヤモヤ感を取ってくれるような表現です。

 

 

 ラストシーンはウツのトンネルを遠くに見るシーンです。

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田中先生もここまで来るのに本当に大変だったと思いますが、こういう形で作品に残されることがすごいと思います。プロですよね。自分のことや身内のことを形にするのは多分、大変だと思います。

 

実は、田中先生の作風から双極性障害(そううつ病)かもしれない、と思っていました。双極性障害ではなく、うつ病だったんですね。

 

客観的な視点と、自分の感情のコントロールがうまくいかないと、ウツだった昔を思い出してウツが再発する可能性だってあります。「自分がキライだ」と思っていた過去をおもいだして作品を描くわけですから、昔の感情に引っ張られることだって何度もあったはずです。それを乗り越えたこの作品は本当に素晴らしいものになっていると思います。

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに単行本の最終話とnoteの最終話が違いますので、ぜひこちらもお読みください。

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こちらがnote版のエンディングです。 

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 コミックを買った方も、noteの最終話はぜひ見てみてください。

 

ということで、田中先生のドキュメンタリーコミックが本当に素晴らしい作品でした!

 

心を病んでいる人も読んで大丈夫。そして、疲れていたり、ウツっぽいのかもって、自分でウツをうすうす感じていたり、他の人に精神的なことを言われて(自分だけはそんなはずない)って思っている人に、ぜひぜひ読んでもらいたいです。

 

かなりオススメです。

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらが田中圭一先生の作品です。『うつヌケ』を期待したら5,000%後悔する、お下劣最低漫画です。

 

■Gのサムライ 

/////////「このマンガがゲスい!」3年連続 第1位作品/////////

イキとしイケるすべてのものたちへ……
異端の作風で物議を醸してきた田中圭一が、マンを持して世に放つチン作!
島流しにあった侍と貴族が、絶海の孤島で死力を尽くしてイキる!
マンガ史上最ゲスの島流し童貞活劇。

※本作はゲスという一点において、大変上質な作品となっております。
多量の放液シーンがございますことをご理解の上、ご購入くださいませ。

【読者よりイキな感想届いてます。】
●イカした童貞2人のイキ様に、読後イキイキとした力が芽生え、イキる希望を頂きました。(30代男性)
●イカんな、イカんな、と思いながらも、最後までイッキにイッてしまいました。(40代男性)
●ゲスいのにイク度でも読み直したい。(20代女性)
●イクらなんでもこれは学校にもってイケませんよ!(10代男性)
●これを楽しめない男はイクじなしです!(20代女性)

 

『Gのサムライ』=『自慰のサムライ』ですね。どうしようもないほどダメな漫画ですね(褒めてる)。精液の量が半端ないです。

 

『泣きたかったら股間から白い涙を飛ばすがよい』が心に突き刺さったね(笑)。

 

 

 

田中圭一最低漫画全集 神罰1.1

「ライオンキングは許せても、田中圭一は許せません!!」 手塚るみ子 (怒)
手塚◯虫、藤子不◯雄、永井◯、さらに西原理◯子に宮◯駿……マンガ・アニメ界の偉人たちが、田中圭一に憑依した!! (ような気が)。リスペクトとかオマージュとか、そういう都合のいい言葉をフルに活用した現代の奇書が、増補&アップグレード版で登場です。

【旧版『神罰』からの変更点】
・『ジャングル小帝』を収録しました(手塚プロ公認)。
・『おめまんが田中くん』を収録しました。
・『ミサコの泉』を収録しました(描き下ろし)。
・『さらにミサコの泉』を収録しました(描き下ろし)。
・『見たか!! 少女の戦車隊』を収録しました(描き下ろし)。
・『神罰のあとさき』を収録しました(描き下ろし)。
・『トクラ1』の作画を向上させました。
・『トクラ2』の作画を向上させました。
・『トクラ3』の作画を向上させました。
・『りる★ドラゴン』の作画を向上させました。
・カバー裏のネタを更新しました。
・カバーの配色を恐る恐る変更しました。
・著者紹介をアップデートしました。
・細かい不具合や誤植を修正しました。

 田中先生の出世作。いつの間にやらVer.1.1になっていましたけど、知らんがな。まあ、時代を先取りした最低の漫画の一つだと思います(褒め言葉)。

 

 

■セクシィ古文

 『源氏物語』や『宇治拾遺物語』には、過激な性愛の描写が満載だった!知的で、エロティックで、抜群に面白い「古文」入門!気鋭の国文学者・田中貴子が著名な古典から24の濡れ場を厳選、奇才・田中圭一の現代語訳コミックと共にエキサイティングに解説していく。

 

こちらは意外に面白いし、教養がつきます。Amazonの評価もほとんどは大絶賛ですが、少数の田中先生のことを知らない人は強烈な拒絶反応を起こしています。 

 

 

 

■ヤング田中K一 

 “漫画の神様”手塚治虫作品パロディーの第一人者、田中圭一!得意先のバイヤーに土下座させられつつもエッチなことを考えながらその場をやりすごす玩具メーカー営業マン時代のお下劣エピソード満載!

 

 

 

 バブル黎明期の1986年、東京の玩具会社に入社した田中K一。「平日は会社員・土日は漫画家」という‘二足のわらじ’を履きながら、玩具業界をひた走る! 笑いながらも役に立つ、実録‘サラリーマンコメディ’!

 

えええ!これ古本で3万円以上するんですか!?こちらは絶版になっているんですね。私持ってますが売りたくはないけど、どうしよう、迷うなあ……。ウソです、売りません。

 

異常な社員に囲まれて、すくすく変態サラリーマンに育つ田中K一先生の物語です。営業マンのバイブ、であってもバイブルでは絶対ありません。成績落ちること請け合いです。

 

 

 

■みなりの青春 (ドパミンコミックス)

『みなりの青春』、2010年12月3日の自分のブログ記事です。

med2008.blog40.fc2.com

「陰茎」、「小陰唇」という単語が

普通の生活をしていて

目にする100倍ぐらいの濃度を

1冊で味わえます。

 

多分、「陥没乳頭」については

一生分ぐらい

目にします。(自分のブログ記事より)

 

2010年の自分の田中圭一先生の記事読んで、赤面しました。 今と同じような文章を書いていますね。

 

こういう作品群のかげにウツがあって、田中先生もいろいろとご苦労されていたんですね……。そう考えると、エログロの作品群もまた味わい深いというか、違って見えて、見えて、

 

……いや、やっぱり最低にしか見えません。でもどん底を知るって、人生大事だから。最低作品群は、わかってくれる方にだけオススメ。