勤務医開業つれづれ日記・3

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【2020年版SFベスト3】2019年に感動したSF小説ベスト3

2019年も多数の書籍が発売され、本当に楽しい時間を過ごすことができました。感謝です。 今年は特に印象に残るSF作品が多かったので、3作を選んでみました。どの作品も読み応えありましたのですごいおすすめです。年末年始に読んで引きこもるにはもってこいです。 

 

目次

 

1位『なめらかな世界と、その敵』伴名練 (著) 

今年一番のSF話題作です。まずは『かぐや様は告らせたい』の赤坂アカ先生の表紙が最高。そして“SFへの限りない憧憬”, "2010年代、世界で最もSFを愛した作家"という煽り文句にいつわりなしの内容です。

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あと、これは「百合」と思って読むべき!ってこと。とくにタイトル作品である『なめらかな世界と、その敵』なんて読み方次第では、マジ百合ですよ。

『なめらかな世界と、その敵』はパラレルワールドを行き来する能力である「乗覚」を失う物語です。谷崎潤一郎の『春琴抄』で佐助が自分の目を潰すように、葉月がマコトと同じ世界にたどり着くため乗覚を捨てるのです。最後のプールシーンはまるで葉月のプロポーズみたいじゃないです?いや、全然そうじゃないけど、管理人にはそう読める。青春ど真ん中で、世界でたった二人とかうらやましけしからんです。

他のお話も素晴らしいです。”ゼロ世代”って、そっちかよ。笑いました。 「シンギュラリティ・ソヴィエト」と「ひかりより速く、ゆるやかに」は絶品です。2019年に一冊読め、といったらこの本がおすすめ。

 

 

2010年代、世界で最もSFを愛した作家。 塩澤快浩(SFマガジン編集長)

いくつもの並行世界を行き来する少女たちの1度きりの青春を描いた表題作のほか、脳科学を題材として伊藤計劃『ハーモニー』にトリビュートを捧げる「美亜羽へ贈る拳銃」、ソ連とアメリカの超高度人工知能がせめぎあう改変歴史ドラマ「シンギュラリティ・ソヴィエト」、未曾有の災害に巻き込まれた新幹線の乗客たちをめぐる書き下ろし「ひかりより速く、ゆるやかに」など、卓抜した筆致と想像力で綴られる全6篇。SFへの限りない憧憬が生んだ奇跡の才能、初の傑作集が満を持して登場 。 

 

 

2位『三体』劉慈欣 (著) 

本当に面白いエンタメな作品でした。中国SFということで敬遠している人がいたら絶対にもったいないので、読むことをおすすめします。3部作ということですので、管理人は今後発売の続編、絶対に買います。

逆に中国SFをもっと読みたい人は『折りたたみ北京』『紙の動物園』がおすすめ。あと個人的に『雪が白いとき、かつそのときに限り』が中国ミステリ百合としてかなり上質な作品です。

中国で三部作2100万部以上を突破 アジア&翻訳もの初のヒューゴー賞受賞 現代中国最大の衝撃作、ついに日本上陸

物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート女性科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。 数十年後。ナノテク素材の研究者・汪淼(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体〈科学フロンティア〉への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象〈ゴースト・カウントダウン〉が襲う。そして汪淼が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは? 本書に始まる《三体》三部作は、本国版が合計2100万部、英訳版が100万部以上の売上を記録。翻訳書として、またアジア圏の作品として初のヒューゴー賞長篇部門に輝いた、現代中国最大のヒット作。  

 

物理学、数学的な”三体”問題

本のタイトルであり、本編の重要なキーワードである”三体”。学問的には問題は解決しているのでしょうか?2013年に”三体”問題にブレイクスルーがあり、13の新しい軌道が見つかっています。そして 2017年には”三体”問題の新しい周期軌道が600以上発見されています。

phys.org

 

三体の一番かんたんな軌道はこちら。 

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三体のかなりややこしい軌道はこちら。
 

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Periodic orbitsより引用)

”三体”問題は、英語ではThree-Body Problem あるいは Three-Body Orbits でも検索できます。興味がある方はぜひ。  

 

3位『息吹』テッド・チャン(著) 

ようやく新作出ました!「あなたの人生の物語」は傑作でしたが、本作も素晴らしい作品でした。「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」はぜひ読んでほしい作品です。 

現代SF界を代表する作家テッド・チャン 知性の極限を追求した世界最高水準のSF作品集、ついに刊行! 「あなたの人生の物語」を映画化した「メッセージ」で、世界的にブレイクしたテッド・チャン。待望の最新作品集がついに刊行。人間がひとりも出てこない世界、その世界の秘密を探求する科学者の驚異の物語を描く表題作。『千夜一夜物語』の枠組みを使い、科学的にあり得るタイムトラベルを描いた「商人と錬金術師の門」をはじめ、各賞受賞作を含む9篇(初訳5篇含む)を収録。  

 

まとめ 

2019年SF小説はいい作品がいっぱいありました。イーガンの『ビット・プレイヤー』もケンリュウの『生まれ変わり』も良かったです。『無情の月』は昨年2018年発売ですが、面白い。月が明るいと思い出す作品です。

今年のベスト3は、短編読むなら『なめらかな世界と、その敵』ですし、長編読むなら絶対に『三体』です。12月に出たばかりの『息吹』はすぐ読んでほしい作品です。

年末年始に引きこもって読むのにおすすめです。

 

ご参考になりましたら幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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