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【金融庁】『人生100年時代の蓄えは? 年代別心構え、国が指針案』【開業医が個人事業主の資産形成を考える(7)】

はじめに

『人生100年時代の蓄えは? 年代別心構え、国が指針案』という記事が 出ました。金融庁が人生100年時代に向けて、本格的に取り組むきっかけになってほしいものです。

 

人生100年時代の蓄えは? 年代別心構え、国が指針案

山口博敬、柴田秀並 2019年5月23日05時00分

 

 人生100年時代に向け、長い老後を暮らせる蓄えにあたる「資産寿命」をどう延ばすか。この問題について、金融庁が22日、初の指針案をまとめた。働き盛りの現役期、定年退職前後、高齢期の三つの時期ごとに、資産寿命の延ばし方の心構えを指摘。政府が年金など公助の限界を認め、国民の「自助」を呼びかける内容になっている。

 

 

 報告書案「高齢社会における資産形成・管理」として、金融審議会で示した。

 

 平均寿命が延びる一方、少子化や非正規雇用の増加で、政府は年金支給額の維持が難しくなり、会社は退職金額を維持することが難しい。老後の生活費について、「かつてのモデルは成り立たなくなってきている」と報告書案は指摘。国民には自助を呼びかけ、金融機関に対しても、国民のニーズに合うような金融サービス提供を求めている。

 

 報告書案によると、年金だけが収入の無職高齢夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上)だと、家計収支は平均で月約5万円の赤字。蓄えを取り崩しながら20~30年生きるとすれば、現状でも1300万~2千万円が必要になる。長寿化で、こうした蓄えはもっと多く必要になる。

 

 まず、現役期は「少額からでも資産形成の行動を起こす時期」と説明。生活資金を預貯金で確保しつつ、長期・分散・積み立て投資を呼びかけた。具体的な方法として、年40万円まで20年間非課税で投資できる「つみたてNISA」や、個人型の確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」などをあげた。出産や住宅購入などの生活設計に応じた預貯金の変化や家計収支を「見える化」することも、効果的な対応として触れた。

 

 定年退職者のほぼ半数は、退職時点か直前まで退職金額をわかっていないのが実情だ。このため、退職前後の時期は、退職金がいくらかや使い道などのマネープランの検討を勧める。

 

 高齢期は、資産の計画的な取り崩しを考えるとともに、取引先の金融機関の数を絞ったり、要介護など心身が衰えた場合にお金の管理をだれに任せるかなどを考えたりしておくことを、課題としてあげている。

(以下、リンク先参照) 

  


目次

 

 

「高齢社会における資産形成・管理」

まずはオリジナルの案と、報道を比較してみたいと思います。オリジナルは金融庁のHPにある金融審議会市場ワーキング・グループ 「高齢社会における資産形成・管理」 報告書だとおもわれます(リンク先は後述)。

 

 

●金融審議会市場ワーキング・グループ 「高齢社会における資産形成・管理」 報告書参考資料(案) より

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こちらは報道より。

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このグラフの問題点はいくつかあります。特に、すでに減ってきている退職金が今後もあるとは限りません。グラフでは65歳ぐらいにグイッと立ち上がりがあります。これは退職金だと思います。

 

しかし今の政権も、そして世界的にも労働力の流動性を求めていられています。多くの人は、どんどん働く場所を変わっていくことになります。

 

退職金が最後に出ないかごく少額になることが予想されます。逆に、何度も退職金を受け取ることもありえると思います。 

 

 

日本の高齢者はすでにかなり働いている

報告書の中には、報道には出ていませんが興味深いデータがいくつかありました。その一つは65歳以上の労働力率です。

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日本では65歳以上が働く割合がものすごい高いです。世界的に見て、日本の高齢者はかなり働いている、ということです。

 

日本人男性では半分以上が働いていますが、アメリカで65歳以上が働いているのは三分の一程度です。フランスに至っては一割程度しか働いていません。

 

日本人が単に働くのが好きというより働かなくては日本では老後は過ごせない、という現状があることを物語っています。

 

日本が高齢化社会に突き進んでいきますが、現時点ですでに諸外国と比較すると日本の高齢者はかなり働いているということを覚えておきましょう。
 

 

数学的思考能力と年齢

数学的思考能力は年齢が上がっても日本人は高く、日本人の60−65歳でOECD平均の40−44歳に相当します(グラフは40−44歳ですが、本文は45−49歳となっています)。

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 年齢とともに数学的な能力は落ちていきますが、重要な能力です。数学的な思考能力を始めとした能力の低下を抑えることで、長く働くことが可能になっているのかもしれません。

 

 

高齢者資産はアメリカ3倍、日本は横ばい 

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米国では 75 歳以上の高齢世帯の金融資産はここ 20 年ほどで3倍ほどに伸びています。

 

しかし日本の同年代の高齢世帯の金融資産はほぼ横ばいで 推移しています。本当に対照的な動きとなっています。

 

アメリカは株価などが好調で、401kプランなどの制度支援もあり、ぐいぐい資産を伸ばしています。

 

一方、日本はバブル以降は株価下落の状況が続いて一般には「株をやると損をする」「株式は危ない」という意識が形成されてしまいました。ようやくつみたてNISAやiDeCoなどの制度が出てきています。しかしまだ制度もかなり弱く、日本は制度的に後進国です。 

 

このような状況で、市況もふるわず制度も整わず、平成の間に日本は世界的にどんどんランクを下げて貧乏になっていったのです。ながくながく30年かけてバブルのつけを払っているのです。

 

 

 

金融庁より引用

今回の報道は、おそらくこちらの金融審議会「市場ワーキング・グループ」の参考資料をもとにしたものだと思います。

 

金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第23回)議事次第:金融庁

●金融審議会市場ワーキング・グループ 「高齢社会における資産形成・管理」 報告書(案) 

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190522/01.pdf

●金融審議会市場ワーキング・グループ 「高齢社会における資産形成・管理」 報告書参考資料(案) 

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190522/02.pdf

 

毎回思うのですが、報道って引用が弱いです。

一体どこから情報を引用しているのかわからない事が多すぎます。おおもとの一次資料に当たらりたいときにたどり着けないことも多く、たどり着いても時間がかかることが多いです。プロの文章のはずですが、これだったらAIで書いてもらったほうがいい感じがします。あるいは参考元をぼやかして、意図的に報道を曲げ用としているのかもしれませんが。

 

 

まとめ

いよいよ金融庁も人生100年の心構えという指針を出すようです。これは「自分で自分の老後は守れ」ということです。

 

どんどん変わりゆく時代に、今までのように国が責任を持って年金を手当することはできません、という白旗でもあるのです。

 

これから団塊の世代が最後の年金世代になり、彼らがバブルで踊ったつけを30年間支払って、年金と保険診療、介護保険を使い尽くしてこの世を去ることになります。逃げ切り世代は人口も多く、投票率も高く、政治は高齢者世代を向いて行われています。

 

逃げ切れなかった世代は賢くあらねばなりません。日本ではなく、世界市場の平均値を資産に組み入れ、時間を味方につけなくてはいけません。熱狂と破壊から遠く離れて静かに、そして着実に歩んでいきましょう。

 

それが金融庁のメッセージなのです。 

 

 

こんな記事を書いています。

kaigyou-turezure.hatenablog.jp

 

 

 

ご参考になりましたら幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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