勤務医開業つれづれ日記・3

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開業医が個人事業主の資産形成を考える(3)小規模企業共済の「20年未満でも損しない」方法【老後に備える資産形成】

はじめに

フリーランスや自営業の方は必見です!小規模共済は個人事業主の退職金です。国が作った制度ですが、税制的にこれはかなりおいしい制度です。見逃している方がいましたら、ぜひチェックしてください。

 

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個人事業主はもちろん、フリーランスの人は絶対に入ったらオトクだと思います。

 

 

 

小規模共済の加入資格 

 

フリーランスや自営業の場合には、妻や家族を除いて5人までの常勤職員なら小規模企業共済に加入できます(建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などの場合は20人以下)。

 

そして小規模企業共済に加入後に、常勤従業員の人数が増えた場合にも解約する必要はありません。あくまで加入時に妻や家族を除いて5人までの常勤職員なら小規模企業共済加入できるのです。

 

小規模企業共済制度には、次のいずれかに該当する場合にご加入いただけます。

 

・建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社等の役員

 

・商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社等の役員

 

・事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員、常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員

 

・常時使用する従業員の数が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員

 

・常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員

 

・上記「1」と「2」に該当する個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)

 

2つ以上の事業を行っている事業主または共同経営者の方は、主たる事業の業種で加入していただきます。

 

「常時使用する従業員」には、家族従業員、共同経営者(2人まで)を含みません。

 

「会社等の役員」とは、株式会社・有限会社の取締役または監査役の方、合名会社・合資会社・合同会社の業務執行社員の方を指します(ただし外国法人の役員は除く)。

加入資格|経営セーフティ共済(中小機構) 

 

例えばクリニックの場合、最初は事務2人、看護師1人、看護助手1人プラス妻だと常勤が4人計算になりますから、小規模企業共済に加入することができるわけです。

 

 

平成23年に大きな改正があった 

平成23年より前に小規模企業共済に加入した方は、今回一度チェックしたほうがいいと思います。なぜなら小規模企業共済は平成23年に大きな改正があったからです。

 

・平成23年から共同経営者の妻が加入できるようになった 

・平成23年から中退共といっしょに加入できなくなった

 

特に大きいのは妻や家族が加入できるようになったことです。ただし共同経営者としてです。まったく別に仕事を持っている場合には共同経営者に該当しない場合もありますのでご注意ください。

 

また中退共と小規模企業共済はいっしょにかけることができなくなりました。妻を共同経営者にして小規模企業共済に加入するか、妻を従業員として中退共にかけるかは十分に検討したほうがいいと思います。できればこちらも後日、別記事にしたいと思っています。

 

平成23年1月からの小規模企業共済制度改正について 

共済制度|中小機構

 

 

 

20年以上加入しないとダメ?じつは違う

小規模企業共済は20年間加入が一つの区切りになっています。これは多くの誤解を生んでいると思います。「もう20年間加入できないからいまさら入らない」という人も実際にいました。

 

ホームページやパンフレットでも小規模企業共済は20年以上加入しないと元本割れすることが書かれています。 

掛金納付月数が、240か月(20年)未満で任意解約をした場合は、掛金合計額を下回ります。 

共済金(解約手当金)について|小規模企業共済(中小機構)

 

でも、実際はどうなのでしょう?

 

実は240ヶ月未満で元本割れするのは、任意解約したときのみです。

 

個人事業を廃業したり死んだりした場合がA共済事由、65歳以上になって受け取るのがB共済事由です。解約ではなく、A共済事由かB共済事由で共済金を受け取る場合には、加入後5年目の段階ですでにお得になっています。 

 

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http://www.smrj.go.jp/doc/kyosai/s_100.pdf

 

ではいろいろと試算してみましょう。

 

まず掛け金は毎月1万円の場合には年額12万円になります。15年で掛け金の総額は180万円になります。

 

共済金の受け取りは、加入15年でA共済事由で死ぬか廃業すると201万円がでますし、B共済事由で老齢年金でもらうと194万円が出ます。

 

月1万円、加入30年で掛け金合計は360万円です。

A共済事由で434万

B共済事由で421万

になります(いずれも千円単位切り捨て)。オトクじゃないですか?

 

   掛け金月1万 A B
15
1,800,000
2,011,000
1,940,400
20 2,400,000
2,786,400
2,658,800
30 3,600,000
4,348,000
4,211,800

「小規模企業共済パンフレット」より管理人が改変)

 

さらに掛け金マックスの計算をしてみましょう。単純に上記1万円を7倍することになります。1ヶ月あたりの支払いは月7万円が上限になります。年額84万円です。

 

15年間で掛け金1,260万円、A共済事由だと1,407万円がでます。B共済事由で1,358万円が出ます。

 

30年間だと掛け金2,520万円で、A共済事由で3,043万円、B共済事由で2,948万円が出る計算になります。 

 
  掛け金月7万 A B
15 12,600,000 14,077,000 13,582,800
20 16,800,000 19,504,800 18,611,600
30 25,200,000 30,436,000 29,482,600

「小規模企業共済パンフレット」より管理人が独自計算) 

 

 

さらに税制優遇措置あり

 

小規模企業共済は節税としては素晴らしいものがあります。掛け金全額が課税対象から外されます。つまりは年金等と同じように、小規模企業共済にかけているお金は所得税や住民税がかかりません。

 

受け取りも一括でもいいですし、分割にしてもいいです。その場合、一括受取りだと退職所得扱い、分割受取りだと公的年金等の雑所得扱いとなります。

 

つまり、

払うときも、もらうときも税制優遇措置

がかかっているのです。これはすごいいいことです。

 

 

 

 

小規模企業共済の前納制度

ここまでグレートな小規模企業共済ですが、さらに前納制度があります。

 

小規模企業共済制度 加入者のしおり 及び約款 

http://www.smrj.go.jp/doc/kyosai/s_bookmark.pdf

 

計算式はややこしいのですが、1ヶ月なら1ですが、2ヶ月なら1と2を足して3、12ヶ月なら1から11までを足して66となります。

 

1ヶ月前納 1

2ヶ月前納 1+2=3

3ヶ月前納 1+2+3=6

1年前納 1+2+3+4+5+6+7+8+9+10+11=66 

 

となります。1年間前納した場合には、払った月は関係なくて、翌月から前払い扱いになるので対象は11ヶ月分までの和になります。これに係数0.09%をかける形になります。和である66に0.09%をかけると、

 

1万円 x 0.0009 x 66 =  594

 

つまり1年間の前納で、月1万円分、年払い12万円あたりで594円の値引きがあります。率としては総支払い12万円で594円ですから、

 

594 ÷ 120,000 = 0.00495

 

つまり1年前納した場合には0.495%の値引きになります。うん、微妙な感じです。

 

チャンスがあれば書こうと思いますが、国民年金の2年前納では4%の割引があります。これと比較すると、小規模企業共済の前納制度は見劣りします。

 

そして一気に引き落とすと銀行口座から84万円がなくなります。その後にバックされる金額は、

 

7 x 594 = 4,158

 

となっています。五千円以上で振り込まれますから、初年度は振り込まれず、来年度以降、五千円を超えた段階で口座に入ってきます。

 

管理人はキャッシュフローの関係上、四千円より現金84万円が口座にあることのほうが大事なので、小規模企業共済ではいまのところ前納は行っていません。ただしキャッシュフローに余裕がある人はやったほうがいいと思います。

 

 

まとめ

小規模企業共済は本当にすぐれたシステムだと思います。入るときももらうときも、税制の優遇があるところが素晴らしいです。節税効果はバッチリです。

 

また「20年間入ってないと損」というのはある一面正しいのですが、任意で解約したときだけの話です。実際に仕事を廃業したり、65歳以上になってもらう場合には20年未満でも決して損になりません。

 

フリーランスで将来の不安がある方はぜひ加入したほうがいいと思います。月に1万円で年に12万円。10年間で廃業してもA共済事由なら129万円を受け取ることができます。

 

意外と知られていませんが、小規模企業共済はすごいお得なシステムです。節税できてフリーランスや自営業の退職金として一番に考えるべきだと思います。絶対におすすめです。

 

 

 

 

 

参考文献 

“税金ゼロ"の資産運用革命 つみたてNISA、イデコで超効率投資 単行本(ソフトカバー) – 2018/1/26 田村 正之 (著) 

NISAとイデコをうまく活用すれば数百万円の得も! 非課税投資制度の充実で、資産運用の大改革が始まる! 2018年1月、大注目の「つみたてNISA」がいよいよスタート。イデコ(iDeCo、個人型確定拠出年金)も2018年からボーナス時の集中拠出が可能になったうえ、金融機関の口座費用の引き下げも進みます。 各制度には多くの誤解があり、正確に知らないために間違った使い方をしがちです。そうした誤解を詳しく説明、どう使えば最大限の利益を得られるのか、具体的な投資ノウハウまで踏み込んで解説します。 つみたてNISAでますます注目される積み立て投資の効果と注意点、また、賢い長期国際分散投資の手法もわかります。 

 

人生100年時代の年金戦略 単行本(ソフトカバー) – 2018/11/22 田村 正之 (著) 

「あなたの選択」しだいで年金額は大違い! 人生100年時代。2050年には、男性の4人に1人が93歳、女性の4人に1人が98歳まで生きます。長生きの最大の支えが「死ぬまでもらえる公的年金」です。幸せに長生きするために、公的年金のフル活用術を知りましょう! ●「最強の受給者」はどんなタイプ?●「繰り下げ、繰り上げ」どっちが正解?●パートの「130万の壁超え」の損得は?●70歳まで働くといくら増える?●年金の税金、どう減らす?●運用できちんと増やすDC活用策は?……など知りたかった答えを一挙紹介! ! 

 

 

 

 

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