【感想】中学聖日記(4)かわかみじゅんこ (著) 「逃げるな、もしくは逃げ切れ」あの日のあの時の二人
ドラマ化決定、おめでとうございます。中学聖日記4巻出ました!
末永先生役に有村架純さんが決定ということですが、晶くんや、るなちゃんが誰になるのか楽しみですね。
「中学聖日記」は末永先生を中学3年の晶くんが好きになってしまうお話です。そして晶くんのことが好きな同級生のるなちゃん、末永先生の婚約者である勝太郎さんとの人間模様を描いている作品です。すばらしい切れ味と恋愛的ドロドロさがクセになってしまう作品です。個人的にはかなり好きな作品です。
4巻では、晶くんの成長のなさを見せつけられました。2年たってもやっぱり先生のことが好きなのか!末永先生もるなちゃんも成長していないんですけどね。予想外にただ一人、精神的な成長を見せているのが勝太郎さんという意外な展開です。
自分自身を見つけられていない登場人物たちが、突発的な行動をしたり、逆に考えすぎて動けなくなったり、縦横無尽に迷走中です。読んでいて、こいつら本当にはらはらしてしまいます。ストーリー的にはかなり恋愛的泥沼な感じなんですが、かわかみじゅんこ先生の切れ味がすごい好きです。これからの展開がものすごく気になります。おすすめです!
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黒岩がいいんだよ!
(『中学聖日記(3)』より)
晶くんに玉砕し続けている、るなちゃんがめげずにアタックしていきます。万歳アタックで、散る桜的なすがすがしさが管理人的にはすごい好印象です。どんな結果でもね、るなちゃんには幸せになってもらいたいです。しかし相手は晶くんですから、なかなか少女漫画的なハッピー展開にはならず、読んでいてやきもきしてしまいます。
生き急いでいるな、私…
(『中学聖日記(3)』より)
夜中にシャワーでずぶ濡れな二人。
るなちゃんは特攻精神で晶くんを連れまわします。本当はこんなに強引じゃなくて、お互い確かめ合いたいはずなのに、るなちゃんは晶くんのことがよくわからないまま力技で自分の方に持っていきます。二人の夜はどうなったのでしょう……?
末永(先生)の住所いる?
さて!さて!
中学3年の担任の末永先生がみんなの前から姿を消して2年、元クラスメイトが末永先生の住所を知る事になります。みんなが知っていることなんですが、トラブルを起こした当事者である晶くんだけは知りませんでした。でも、晶くんにも遅れて末永先生の情報は入ってきます。
末永先生
当事者の末永先生は田舎の小学校で先生を続けていました。お人好しで、人の裏面を見れないことはある意味いいことではあるのですが、前職での話や、婚約者の勝太郎さんとの話など、本人の知らないところでいろいろとうわさされています。
そして僕らは途方に暮れる
晶くんと勝太郎さん、末永先生のアパートに行く途中で鉢合わせてしまいます。二人とも衝動的に末永先生の家を目指していた、っていう状況がスゴ過ぎます。
晶くんは末永先生が学校にいられなくなった問題の張本人です。それなのに先生の住所を知ったとたん、突発的に先生に家に向かって猛ダッシュしてしまいます。
勝太郎さんは末永先生との婚約を解消して(されて)からも、ときどき末永先生のところに会いに行ってしまいます。
もー、お前ら二人そろって何やってんだ!
ってツッコミ入れたくなるような状況です。二人とも末永先生に会いたくて、アポも取らずに突っ込むって、どんだけ若いのよ。
ぼくはあの日のあの時のまんまです
一度は引き返した晶くん。二度目に末永先生のところに行って、先生に会ってしまいます。そして2年ぶりに話をします。晶くんを見上げる末永先生。
二人の話は昔のことではなく、今のお互いの話ばかりです。つまりは思い出には全然なっていません。二人の間では、リアルタイムでいまも相手と自分の話は動いているんです。
そして晶くんは先生にまた直球を投げかけます。恋愛的直球、それも豪速球です。もう相手がデットボールになろうとストライクになろうとおかまいなしです。末永先生はそんな晶くんのことを「黒岩くん、乱暴だよ」といいます。
あの日のあの時
(『中学聖日記』2巻より)
あの日のあの時、とは2巻のお話です。
ふたりはいったいどうしたんでしょう。2巻でのお話はすごい印象的でしたよね。ぜひ読んでみてください。そして2巻の時の、二人の身長差に注目です。この時はあまり差がなかったのに、4巻では末永先生は晶くんを見上げるようになっています。
大きくなる身体と、変わらない恋愛感情。ついてこない心の成長。そして二人の間にはまだ大きな距離があることにお互い気付いてしまいます。
原口さんと勝太郎さん
(『中学聖日記(3)』より)
サブキャラたちの小気味好い毒舌で、盛り上がっている登場人物に冷や水ぶっかける感じも大好きです。この恋愛的泥沼からようやく抜け出しそうな気配があるのが勝太郎さんで、上司の原口さんが一役買っています。
上司である原口さんは超優秀で、勝太郎さんの良きアドバイザーです。末永先生に未練タラタラな勝太郎さんは、原口さんに仕事の面でも恋愛の面でもいろいろ(まあ、いろいろ)お世話になってしまいます。
個人的には原口さんは吉野朔実先生(故人)の作品に出てきそうな人物なので、すごい気になります。仕事ができるマリリン・モンロー的な雰囲気がいいですよね。
末永先生にいまだに思いを振り切れない勝太郎さん。原口さんがそんな勝太郎さんを導いてくれるのでしょうか?あるいは、またこじれちゃうんでしょうか?
まとめ
中学聖日記4巻も相変わらず切れ味抜群で、なおかつドロドロでした。主人公をはじめとして主要メンバー全員が迷走中です。
あの日あの時あの場所で、なんて小田和正でもあるまいし。2年ぶりに末永先生に会って晶くんのラブ・ストーリは突然に再点火されてしまいました。もう打ち上がるか、暴発するか二つに一つです。
「逃げるな、もしくは逃げ切れ」という言葉がもうどうしようもないみんなの気持ちを代弁しています。
何から逃げない?そして、何から逃げ切るのでしょう?
相手?自分自身?
恋愛感情?嫉妬?
いろいろな関係と感情を抱えながら物語は進みます。ものすごいオススメの4巻でした。まる。
「先生はもうぼくの担任教師じゃないですよね?」黒岩晶、17歳。高校2年生。2年間、見失ったままだった初恋の担任教師・末永聖の行方を偶然知った晶。つき合っている彼女・るながその情報を隠していたという疑惑を持ち動揺するが、聖への「ただ会いたい」という感情に突き動かされ晶は聖が住む田舎へと向かった。しかしその途中で、聖の元・婚約者の勝太郎に出くわしてしまう。彼女ととっくに結婚していると思っていた男から掛けられた言葉は――?2年間の沈黙がついに破られる、再会の第4巻!巻末には、電子版限定特典・4巻カバーイラストラフを収録!
ご参考になりましたら幸いです。
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