勤務医開業つれづれ日記・3

雑記ブログです。マンガや書籍、医療関係について書いてます。

【発展】質問にお答えします。食物アレルギーとIgE、IgG、IgA(暫定記事)【疑問にお答え】

はじめに

いつもおさわがせして申し訳ありません。ブログ管理人です。 

 

【注意】遅延型フードアレルギー検査、アレル・チェックはアレルギー検査として意味ありません。【まだやっているのか!】 

 

というブログ記事が思いの外、多くの方に読まれております。アレルギー専門医として大変ありがたいことです。 本当にありがとうございます。

 

kaigyou-turezure.hatenablog.jp

 

多くの方の注目を集めていると、やはり疑問点や誤解が生まれて来ます。それに対してすこしでもお答えしたいと思います。 

 

かなり専門的な内容になっておりますのでご注意ください。また、現時点では暫定的な記事で、今後内容が変更したりする場合がありますのでご了承ください。

 

 

 

IgEはアレルギー、IgGは関係ない

まずはかんたんに前の記事をまとめてみたいと思います。

 

アレルギーに関係するのはIgEです。

IgE普通の病院で、普通にアレルギー検査をしたら、普通に保険適応されて結果がわかるものです。普通の方は普通に病院にご相談ください。IgEの測定が一番正解です。

 

一方、自己負担で3〜6万円かかる「遅延型フードアレルギー検査」「アレル・チェック」はアレルギーと関係ないIgGの検査です。保険が適応されておりませんので高額です。しかもアメリカ、ヨーロッパ、日本のアレルギー学会は食物アレルギーによるIgGの検査は意味ないと注意しております。

 

 

質問1:IgEと関係ない食物アレルギーはある? 

ところで、大変鋭い方がいらっしゃいます。 何人かこのような質問をされております。

 

IgEに関係ないアレルギーってないの?

 

これはIgGやIgAがアレルギーの原因か、という質問にもつながって来ます。いままで散々、アレルギーはIgEと言ってきましたがIgEに関係ない食物アレルギーってあるんでしょうか?

 

回答1: 非IgE依存性反応というのがある。でも…

じつは食物アレルギーは、免疫学的機序によって大きくIgE依存性反応と非IgE依存性反応に分けられます。この非IgE依存性反応はその名のごとくIgEとは関係ない食物アレルギーです。

 

新生児-乳児消化管アレルギー

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この赤丸の新生児-乳児消化管アレルギーがIgEと関係ない食物アレルギーです。IgE とは関係ない食物アレルギーはあります。 

 

新生児-乳児消化管アレルギーとは、新生児期もしくは乳児期にミルクまたは母乳を開始した後に発症し、嘔吐、下血などの消化器症状をおこします。

 

 

食物アレルギー診療ガイドライン2016 ダイジェスト版

食物アレルギーの診療の手引き2017|食物アレルギー研究会

を参考にしています。 

 

 

好酸球性食道炎

成人の場合は好酸球性食道炎がIgEと関係ない食物アレルギーだと考えられます。

難病情報センター | 好酸球性消化管疾患(指定難病98)

 

IgEと関係ない食物アレルギーはあります。でもたぶん多くの読者の方がイメージしているような病気の感じではなく、指定難病の病気です。そして「遅延型フードアレルギー検査」「アレル・チェック」で調べているIgGが原因ではありません。現時点では病気の原因は不明です。

 

 

質問2:IgAによる食物アレルギーは?

IgGと同様にネットや自費診療で検査することができるIgAはアレルギーに関係するのでしょうか?

 

 

回答2:IgAもIgG同様、食物アレルギーには関係ない

やはりIgAもアレルギーには関係ありません。 ped先生(後述)のツイートで引用されております下記論文にもIgAの記載はありません。

 

Food allergy: Epidemiology, pathogenesis, diagnosis, and treatment 

http://www.jacionline.org/article/S0091-6749%2813%2901836-8/fulltext

 

食物アレルギーの検査として高額(3〜6万円)をかけて自己負担でIgGIgAの検査をしてもアレルギーとはなんら関係ありません。ですからお勧めできません。

 

 

質問3:「遅延型フードアレルギー検査」「アレル・チェック」のメリット、デメリットは?

 

高いお金を出して、いろいろな食品の検査をするのですから何か意味があるのでは?

 

回答3:メリットはありません。デメリットはいっぱい

 

「遅延型フードアレルギー検査」「アレル・チェック」は日本アレルギー学会をはじめとしてアメリカ、ヨーロッパの学会で意味がない検査だとして注意喚起されています。

 

メリットはありません。

 

デメリットは保険が効かないので高額なお金がかかるのと、アレルギーに対して間違った検査結果で誤解が生じることです。

 

間違った検査で、アレルギーとは関係の無い結果をみて食べ物の制限をすると逆にアレルギーがひどくなったり、新しいアレルギーが出てくる場合があります。

 

「遅延型フードアレルギー検査」「アレル・チェック」などのIgG検査は意味がないだけでなく、うのみにすると不必要な食事制限から健康被害を起こす恐れがあります。 

 

 

 

 

 

ped先生にご助言いただきました 

今回の記事作成にヘルプしていただいたのはped先生です。今回は激務の中、本当にありがとうございます!私はアレルギー専門医ですが、それよりさらに上級のアレルギー指導医です。激レアです。

 

ped先生のツイッターはこちら↓


ped先生ブログはこちら↓

 

興味がある方はped先生のツイッターとブログをご参照ください。きちんとした論文をわかりやすく解説していただいております。ありがとうございます!

 

 

 

 

まとめ

アレルギー専門医は多くの人のアレルギーを改善したいと思っています。そしてアレルギーに困っている人たちに、よりよい治療や助言をしたいといつも願っています。

 

一方、アレルギー患者さんにとって無駄だったり、逆にアレルギーをひどくするようなことを、さも効果があるように見せかけ高額をとることは専門としてやはり許しがたいです。 

 

 一人でも多くの人がよりよい診断と治療を受けることができ、生活の質が向上することを願ってやみません。

 

 

<こちらは一般向けの「ニセ医学」に関する本。良著です> 

 

<これも良著。「フェルマーの最終定理」のサイモン シンです> 

 

<日本小児アレルギー学会のガイドラインです(医師用)>

 

<日本小児アレルギー学会の本です(医師用)>

 

<日本小児アレルギー学会の海老澤先生監修のレシピです(一般向け)> 

 

<日本小児アレルギー学会の海老澤先生の本です(一般向け)> 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ご参考になりましたら幸いです。