勤務医開業つれづれ日記・3

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【感想】『やがて君になる(5)』 仲谷 鳰 (著)  君しか知らない。いまも、そしてきっと明日も。【マンガ感想・レビュー】

『やがて君になる』5巻出ました!

 

表紙絵が水族館です。いいですねぇ。いよいよ文化祭直前になってきました。生徒会長の燈子先輩が言い出した文化祭での「生徒会劇の復活」。侑の友だちのこよみの脚本は、知らないうちに燈子先輩の本質に近づこうとしています。

 

自分を死んだ姉に重ねようとする燈子先輩と、お姉さんになりきろうと固執する燈子先輩を心配する侑。そして燈子先輩の一番の親友で、最も理解してくれているだろう佐伯先輩。三人を中心に生徒会劇はどのようになっていくのでしょう。そしてこよみの脚本はどのような結末を迎えることになるのでしょう?

 

丁寧な登場人物の心情描写がすごくいいです。特にお姉さんになりきることを目指しているのに揺れてしまう燈子先輩が特に5巻後半のポイントです。佐伯先輩の立ち位置も嫌いじゃないですよ。でもね、佐伯先輩は報われないよね……。それでもキリッと侑に燈子先輩のことが好きだ、と言い切るシーンはとても良かったです。

 

はー、『やが君』は各場面がいろいろ尊いです。そしてこれからがいよいよ文化祭、生徒会劇の本番です。いろいろ伏線回収してきているし、6巻が待ち遠しいですね。とにかく問答無用でおすすめです!

 

 

 

 

 

<4巻感想はこちら> 

<3巻感想はこちら> 

kaigyou-turezure.hatenablog.jp

 

 

今までの表紙を見比べてみてください。1、2巻は燈子先輩のリードして、3巻では二人並んで、4巻では花火をしている燈子先輩のことを侑ちゃんがちょっと寂しそうに見つめる、となっています。

 

5巻の水族館の表紙は初めて侑ちゃんが燈子先輩と対等に向き合っている絵になっています。いいですね。 

 

 

生徒会劇とは 

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(『やがて君になる』2巻より)

 

生徒会劇はこのお話の軸になっています。2巻巻頭から生徒会劇を復活させると燈子先輩は宣言します。 

 

 

オリジナル脚本 

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(『やがて君になる』3巻より)

 

オリジナル脚本担当は侑ちゃんの友人で小説家志望のこよみちゃんです。こよみちゃんの脚本で生徒会劇を行うことにしました。結構鋭い観察眼を持っています。 

 

 

 

 主人公は燈子先輩と重なり……

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(『やがて君になる』4巻より)

 

こよみちゃんの脚本は、燈子先輩のことをほとんど知らないのにその本質を言い当てています。燈子先輩は主役を演じますが、主人公の選択一つ一つがまさに燈子先輩がいま行なっていることに重なってくるのです。 

 

生徒会も演劇の合宿を行ったり、演劇関係のOBを呼んだりかなり本格的に準備を進めています。

 

 

 

 

 

「君しか知らない」 

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ここから5巻内容です!

新しい脚本と、決定したタイトル「君しか知らない」。5巻後半でこのタイトルの意味も出てきます。

 

 

燈子先輩の抵抗

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燈子先輩は脚本の変更に抵抗します。前の脚本の内容が自分の今までの選択してきたことに重ねられるからです。

 

そして新しい脚本は今までの燈子先輩の選択を否定し、主人公が自分なりに新しい道を選択する結末に変わっています。劇と同じことを燈子先輩は周りに求められているとしたら?自分の選んだ”姉そっくりに生きる”ということが間違いだと言われているのです。

 

 

 

「私は好きよ」 

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「私は好きよ」

 

佐伯先輩、侑ちゃんに宣戦布告かよ!?

ハートに来ましたね!個人的には佐伯先輩のベストショットです。でも佐伯先輩自身はいままで燈子先輩には深く立ち入らないスタンスでやってきています。そしてそれを自覚しています。燈子先輩が隠していることには突っ込みません。決して一線を越えられない安全な関係です。

 

でも、侑は勇気を持って燈子先輩に踏み込みます。いままでずっと一緒にいた佐伯先輩ができなかったことを後輩の侑がどんどんやっているところを見る佐伯先輩は一体どんな気持ちでしょう?うわ、もう佐伯先輩がふびんで泣けてきた。あるいは自分も前に進む決意をかためたのでしょうか。

 

 

燈子先輩、グレる

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最初の脚本は、自分で過去の一番納得できる方向に進むという結末でした。それこそ燈子先輩がいま自分で行なっていることです。いまはもういないお姉さんの影を追って、自分で理想とするお姉さんになりきろうとしています。

 

燈子先輩のそんな努力を知っているのは侑と佐伯先輩だけです。それなのに侑と佐伯先輩は、いまから新しく自分を見つけるような新しい脚本の結末を支持します。

 

 

 

侑ちゃん、踏み込む

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「もらったものを無かったことに

しないでください」

 

それでも侑は燈子先輩に踏み込みます。燈子先輩はお姉さんのことが理想で、それに自分を完璧に重ねようとします。

 

でも、周りの人はお姉さんのことを知りません。侑を含めて燈子先輩をみている人たちは、燈子先輩本人を見ているのです。他のだれでもなく、先輩本人を見ていることを忘れないでほしいと侑は言います。

 

 

おまけ

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このシーン、良かったですよね!

侑は、ふられた友人に対してさみしそうな顔をします。それって好きって感情の裏返しですよね。いままで侑は誰に対しても好きっていう感情を持てなかったのですが、先輩や友人たちの交流の中でいっぱい心が動かされることが増えています。きっと、好きっていう感情も君のそばにあるよ。

 

これは1巻からの伏線回収です。先輩を追いかけて高校を選んでバスケ部に入ったのです。5巻は実は色々伏線回収しています。仲谷先生は1巻の1話からいろいろ仕込んでいたんですね。

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(『やがて君になる』1巻より)

 

この会話に2つ伏線があって、一つは上のシーンで、もう一つは「年上がいい」って言っているこよみちゃんの好きな作家さんです。これも5巻でその顛末が描かれています。本当にしっかりと考えられている作品ですね。

 

 

まとめ

5巻の『やが君』も良かったです!

毎回毎回、本当にすごいクオリティですね。今回は文化祭の前の準備段階ですからつなぎの部分だと思いますが、いろいろと登場人物の心情に心動かされました。

 

燈子先輩はいまだに自分で作り上げて来た理想のお姉さんを演じることに執着しています。危うさを感じながらサポートする佐伯先輩と、燈子先輩自身を大事にしてほしくて一歩踏み込んでくる侑。三人が三人ともいいところも悪いところも抱えながら話は進んでいきます。

 

これまでの『やが君』を読み込んでいる人にはわかると思いますが、かなり早い段階からこの「生徒会劇」が物語の背骨になっています。生徒会の仕事とか、3巻の体育祭とかがあって高校行事一般目白押しみたいな印象かもしれませんが、一番のふとい構成はやはり文化祭での「生徒会劇の復活」なんですよ。そうすると、逆に「生徒会劇」が終わったら『やが君』も終わる?

 

そんなこと考えたくないのですが、5巻はいろいろ伏線回収していたからお話をたたむ前触れかもしれません。そして6巻からはいよいよ「生徒会劇」が始まります。幕が開いた後、みんなはどう考え、何を感じるのでしょう?そして劇が終わった時に何を得て、そして何を失っているのでしょう?すごい続きが気になる5巻でした。すぐに6巻読みたいです。次も絶対に買います。すごいおすすめです。

 

 

燈子を変えたい。 自らの願いを見つけた侑は、 こよみに生徒会劇脚本の改変を提案する。 だが、侑の願いは燈子の望むものではなく…… 「お姉ちゃんになるのが間違いなら、 私は何になればいいの」