【感想】『春風のエトランゼ 3』紀伊カンナ (著) 君にだけささげる、いとおしい日々【マンガ感想・レビュー】
『春風のエトランゼ』3巻読みました!
本当に名作ですね。胸にずしりと響きます。
BLですのでダメな方はご注意ください。この作品ならBLとはいえ読める人多いと思いますけど、どうなんでしょう?管理人は結構腐っているので、そこらへんの境界が不明瞭になっていますのでご判断はお任せします。でも名作です、本当に!
『春風のエトランゼ』は3巻ですが、『海辺のエトランゼ』の続編になっていますのでぜひとも『海辺のエトランゼ』から読まれた方がいいと思います。『海辺のエトランゼ』のころから作品の透明感が本当に好きでした。「海辺」は沖縄の離島、そして「春風」になってから舞台は北海道の函館に移ります。
両親を失った実央くんに駿は話しかけます。小説家の駿はゲイですが桜子さんと婚約して結婚寸前まで行きました。実家を飛び出した駿と、帰る場所がない実央くんはお互いにひかれ合います。
BL読める人なら絶対にオススメ。読めない人でも『海辺のエトランゼ』だけでもチャレンジしてほしいなぁ。あー、すごいいいもの読ませてもらいました!
海辺のエトランゼ
ずっと海を眺めていた高校生の実央くん。そして実央くんに声をかけた駿。二人はお互いを強く意識し始めます。でも、この時の二人の時間はとても短いものでした。
3年後 実央くん
「大人になったから 戻ってきたよ」
いい子だ、実央くん!実央くんは20歳になりました(「春風」1巻より)。あれから3年たって、実央くんは駿の元に戻って来ました。
駿
「戻ってくるなら もっと早く帰ってこいよ」
ひゃー、照れ隠しの駿もかわいいですね。ちなみに駿は27歳(「春風」1巻より)。若く見えるよね。でも、お互いにいろいろ思うところはあって、実央くんは実は電話をかけたけど駿につながらなくて、駿はずっと実央くんのことを思っていたのに手紙を一枚だけ受けとっただけでした。
久しぶりの再会で、お互いの距離をちょっとずつ確かめます。ん、このシーンいいですよね!
桜子ちゃん
はい、桜子ちゃん乱入です!
駿の許嫁だった桜子ちゃんが北海道から駿に会いに来ます。駿の父親が病気になったということです。駿は動揺します。簡単には家には戻れないけど、父親の病気もすごい気になる。
桜子ちゃんは駿のことが好きです。そして駿は桜子ちゃんのことを振り切ることができません。実央くんをおいて北海道に戻るか、父には会わずにこのまま沖縄にいるか。駿の心は揺れてしまいます。
春風のエトランゼ 1巻
駿は北海道の函館の実家に戻ることになりました。結局、実央くんを一緒に連れて行きます。実央くんまで函館にくると思っていなかった桜子ちゃんは思わず実央くんをビンタします。
駿の実家には、あれ?知らない子供がいます。だれ?
実は、両親が施設から引き取った養子の弟のふみくんがいました。
結局、駿はそのまま実家に留まることになり、実央くんも一緒に居候することになります。このアングル、すごいですよね!実家の犬と実央くんは楽しそう。そして駿くんは久しぶりの実家と、おもに父親との相性の悪さで気分がローな感じです。
春風のエトランゼ 2巻
駿は「春風」で小説が入選して、連載をやっているようです。でも、小説については毎回苦労の連続の様子です。編集さんもピリピリです。どうやら駿はこの編集部でアルバイトとしてむかし、働いていたようです。
元旦で仕事明けでハイになっている駿。でも自分の小説を書くという仕事が不安定で、そばにいる実央くんと比べても自分がダメな人間だと落ち込みます。
ちなみに実央がタチで、駿がネコです。この攻め受け逆な感じもまたいいですよね。
春風のエトランゼ 3巻
駿が苦労して書いた小説が大ヒットしてしまいます。いままで駿は仕事が安定していなく不安だったのに、当たったら当たったで外に出られなくなってしまいます。困ってしまう駿と周りの人間たち。沖縄時代のみんなも函館にやってきて、どんちゃん騒ぎします。
週刊誌に宴会をスクープされ、かってにいろいろ書かれてしまう駿と実央くん。でも世間一般からどう思われていようと、二人は仲良く毎日を過ごして行きます。
というわけで、最高の3巻でした!
『春風のエトランゼ 』3巻で第一部完のようです。次は5年後の設定のようですから、4巻では駿が27→32歳、実央くん20→25歳、そしてふみくんが7→13歳(ふみくんだけ+5じゃないのは3巻にそう書いてありました)ぐらいになるはず。みんなは一体どうなるんでしょうね?実央くんは髪の毛も伸びて、ちょっと大人っぽくなった感じじゃない?
紀伊カンナ先生の描く人物っていいですよね。桜子ちゃんや駿のお父さん、お母さんってきちんとした生活感があると思いませんか?地に足がついている感じですよね。桜子ちゃんがふみくんに「しゃんとしなさい」(「春風」2巻)っていうセリフあるんですが、きちんと親御さんに育てられたんでしょうね。なんだか母親に言われているようでジーンと来ました。
実央くんは基本女の子が好きでノーマル寄りですが、たまたま好きになっちゃったのが男の駿だ、って言います。明るく朗らかで、仕事をちゃんとして(かつエロい)、でも両親とも死んでしまっていて帰る場所がありません。
一方の駿は最初から女の子は全然ダメで、男性が好きなんだけど男性に対しても受け身です。実家に戻ると世間の目も冷たいし、近所じゃうわさになるし、小説が売れたらゲイとしてマスコミに面白おかしく取り上げられちゃいます。
二人はお互いのことを思ったり、時にはすねたり、不安になったりもします。同性愛だから、お互いを求め合う感情だけがよりどころです。結婚もできないし子供もできない。二人の関係を結びつけているのは両方の愛情だけです。だからこそ一日一日がいとおしい。
なんというか、もうもだえますね。読者としては二人の関係を読みながらベッドに寝っ転がってうわっっっっ、ていいながら枕バンバンする感じです。そして、BLだとハッと気づくわけです。何やってるんだ、自分?とにかく、もう絶対に読んでほしい作品です!絶対にオススメです!!
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とりとかいぞく
ご参考になりましたら幸いです。