【感想】『たそがれたかこ(10)』入江喜和 (著) 堂々完結!中学生に恋するたかこさん(45)、ロックだ!【マンガ感想・レビュー】
『たそがれたかこ』最終10巻出ました!
この物語についにピリオドが打たれる日が来てしまいましたね……。発売が1ヶ月遅れた時は一体どうなったかと思いました。本当に待ちに待った最終巻でした。
バンドのナスティインコのファンになって、中学生のオーミに恋している45歳のたかこさん。娘の一花は拒食症で不登校。高校進学もいろいろハードルが高くて大変です。そんなたかこさんにいったいどんな未来が待っているのでしょう?
入江喜和先生の丁寧な話が好きです。たかこさんと一花が歩んだ全10巻。きっとこの作品を大事に思ったり、必要とする人がいっぱいいるはず。届くべき人に届いて欲しい素敵な物語でした。入江喜和先生、お疲れ様でした!
「自分から言ったことのない言葉を言いたくてガマンしてる」一花の進学先探しもひと段落し、かすかな希望が見えてきた春。たかこは、ナスティインコのライブに2度目の参戦! 今度は、片思い相手の中学生男子、碧海と二人。大好きな谷在家光一くんの歌声に包まれ、たかこの心が走り出す!! 45歳のロックンロール、堂々完結!!
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授業見学
たかこさんと娘の一花は高校を見学に行きます。不登校と拒食症でずっと迷いつづけていた一花はようやく自分を受け入れてくれる場所を見つけられそうです。
美馬さんのいない美馬
倒れた美馬さんのかわりに公平くんが頑張って「美馬」を切り盛りしています。美馬さんがいたころより繁盛しているようですが、実はみんな美馬さんファン。みんな美馬さんの帰りを心待ちにしています。
でも、いちばんおいしいところを持って行ったのはマキちゃんと一緒にいる公平くんですよ。美馬さんはマキちゃんに振られたショックで入院しちゃったんですから。
マキちゃんと公平くん、いつまでもお幸せに!
Zepp DiverCity
たかこさんは二度目のライブ。オーミくんはそのライブには行けませんでした。最初のライブよりずっと大きいお台場のハコです。Zepp DiverCity(TOKYO)での対バンみたいです。チケット見るとバンド4つかな?
ナスティインコライブ
「今日 この一瞬だけは ガマン解除で
キラキラしてください」
ついにナスティのライブが始まります。チケットの記載順だとラス前で、トリは別のバンドのようです。ナスティのボーカル、光一の言葉がたかこさんの心に刺さります。
オーミとたかこ
オーミはすぐに引っ越していなくなってしまいます。ナスティのライブは最後の一音へと向かいます。ついに自分の心に正直になったたかこさん。オーミに自分の気持ちは届くでしょうか?
美馬さんとたかこさん
たかこさんはライブ後に偶然美馬さんと出会います。ものすごいモテる美馬さんはマキちゃんに逃げられます。そのショックで倒れて救急車で運ばれてしまいますが(9巻)、ようやく復活です。
美馬さんに好きなオーミの話をするたかこさん。45歳のたかこさんと中学生のオーミってすごいけど、美馬さんとマキちゃんもすごいよね。45歳なのに恋愛ビギナーなたかこさんですが、自分の思いの丈を言葉にできてすこしスッキリ。美馬さんもそんなたかこさんが素敵に見えます。まあ、女たらしの美馬さんのことだからその場の雰囲気で適当なんだけど。
ちなみに1巻のたかこさん(1年前)↓
(たそがれたかこ1巻より)
1巻見るとわかりますが、本当にたかこさんは明るくなりましたよね!化粧や髪の毛もそうですけど、生活や心が若返っている感じです。
たかこさん&一花 風にふかれて
最終話はタイトルが「風にふかれて」。英語だと"Blowin'The Wind"です。ノーベル文学賞をとって物議を醸し出したボブ・ディランの有名な曲です。
一花は徐々に高校になじんで行きます。あれだけいろいろあって、でもほんのすこしずつでも成長してお姉さんになりましたね!親の立場になっちゃって涙ウルウルです。
そしてついに『たそがれたかこ』の物語は終わりをつげます。
たかこさんはライブの時にオーミからもらったナスティの缶バッジをいまでもバッグにつけています。そのバッグを持って、ナスティのライブにまた向かいます。最終話タイトル「風にふかれて」にあわせて考えたら、思い浮かぶのがこのフレーズ。
"The answer is blowin' in the wind"
きっと45歳のたかこさんには、これからもいっぱいいろいろな事が起きるに違いありません。でも1年前には知らなかった本当に自分の好きなもの、そして心から自分が好きな人ができました。
大人だって、中高年だって、更年期だって、好きは好きだし、熱くなれるし、泣いたりもする。45歳になっても途方にもくれるし、何が起こるかわからないし、いまでも何だってできる。きっと答えは風の中。
『たそがれたかこ』っていう人生の下り坂をイメージした、たそがれたタイトルをたかこさん自身のキャラがぶっ壊して、やけくそに明るいエンディングにしてくれました。ネガティブだったたかこさんがつまづきながらも前向きに明るく進むお話でした。心にしみる全10巻、堂々の完結です。
たかこさん、ロックな人生だな!
ご参考になりましたら幸いです。