【感想】『阿・吽(6)』おかざき真里 (著) ビリビリ来た!日本史上最高峰の天才たちの魂!!【マンガ感想・レビュー】
『阿・吽(6)』読みました!
おかざき真里先生は毎号、毎号、なんでこう、
泣かせるのかなぁ、もう!!
というかんじで、思い出しただけも涙腺うるうる来そう。空海、最澄もそうですが、今回は霊仙和尚でしびれましたね。
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今回注目の霊仙和尚の略歴です。
興福寺で学んだ後、804年には第18次遣唐使の一人として45歳で入唐した。同期に最澄・空海・橘逸勢らがいる。長安で学び810年には醴泉寺(れいせんじ)にて、カシミールから来た般若三蔵が請来した「大乗本生心地観経」を翻訳する際の筆受・訳語(おさ)を務めた。811年、「三蔵法師」の号を与えられる。時の唐の皇帝・憲宗は仏教の熱心な保護者であり霊仙も寵愛を受けて大元帥法の秘法を受ける便宜を与えられるが、仏教の秘伝が国内から失われることを恐れた憲宗によって日本への帰国を禁じられた。
霊境寺の浴室院で毒殺されたという。唐に渡ってから死ぬまで日本の地を踏むことはなかった。
霊仙和尚は簡単に言うと、中国の思想、学問や文化のトップに君臨したただ一人の日本人といってもいいかとおもいます。
例えば、外国から来た留学生が東大か京大の総長になったって感じでしょうか。逆に言うと、唐の時代なのにかなり実力主義で人を登用していたってことです。当時の唐はある意味、今の日本より進んでいたのかもしれません。
阿・吽(5)より おかざき真里 (著)
最初はなかなかの策士で、皮肉屋さんだった霊仙和尚。5巻では空海に手紙を書かせるために段取りを組みます。
天才と言われ続けて、でも44歳になるまで遣唐使になれず、霊仙和尚は歪んでしまう要素はいっぱいです。
霊仙和尚は空海とともに醴泉寺で般若三蔵に会いに行きます。
ビリビリ来るなあ、もう!
やはり天才と言われ続けていた霊仙和尚。ダブルヘリックスを背景に真理を求めて空海と”ダイブ”していく様は圧巻です。
そして我に返って空海の肩を借りて霊仙和尚が号泣。こちらも涙ぽろぽろです。
”他人をはげまし、
友を見送り、
若いものに抜かれ、
その背中がまぶしく、拍手を贈っていた者よ。
情熱はいつもお前の中にあった。”
若い頃に真理を追い求めていた自分は決して間違っていなかった。天才と言われながら、自分を小賢しいものとして考え、若い人に抜かれていた霊仙和尚はついに唐にたどりつき、真理に近付くのでした。
いやもう、素晴らしすぎますね。読んでいて泣くよ、もう。
そして改めて6巻はじめを思い起こして人生の理不尽さを感じるわけです。最後には霊仙和尚は毒殺されます。「大乗本生心地観経」を翻訳し、「三蔵法師」の号を与えられ、そして秘伝を会得したため国外に出ることができずに毒殺されるのです。真理を追い求め続け、秘伝をえてそしてそのために殺されるとはなんという皮肉でしょう。
一方、不運の最澄は早々に日本に戻ります。ここが空海との人生の岐路だったのです。
というわけで、『阿・吽』6巻も最高でした!
暴れる魂のセッションといいますか、日本史上最高峰の天才たちが同じ世代に同じ異国で同じように密教を学びます。しかもみな、のちの人生に大きな違いが出ます。一人は真言宗の開祖になり、もう一人は天台宗の開祖になり、残る一人は日本に戻れず唐でてっぺんの三蔵法師になり毒殺される。なんという人生。しびれますね。いまから次が楽しみです。絶対にオススメです!!