【感想】『やがて君になる(4)』仲谷 鳰 (著) このままでいたい。このままではいられない。この気持ちはどこに行けばいい?【マンガ感想・レビュー】
『やがて君になる』4巻出ました!
4巻では生徒会劇の練習が始まります。本番に向けていろいろとありそうな予感の4巻でした。
橙子先輩はお姉さんの完璧なイメージに自分を重ねようとしますが、お姉さんの知り合いに二人は全然違うと言われてしまいます。
体育祭が終わってから侑ちゃんの心境にも微妙な変化が起こります。微妙な二人の関係が生徒会劇で少しずつ変わっていきます。「好き」を持たない侑ちゃんが変わることで、きっと橙子先輩との関係も変わってしまうに違いありません。周りを巻き込みながら生徒会劇の準備は進んでいきます。おすすめです!
七海燈子の念願である生徒会劇。 夏休みに入り、その練習合宿が行われる。 それぞれの思いを秘めながら合宿に臨む燈子、侑、沙弥香。 その一方で、燈子の追い求め続けた理想は、揺らぎ始めていた。 「侑は私のこと、好きにならないでね」
<5巻感想はこちら>
<3巻感想はこちら>
『やがて君になる』3巻巻末より
体育祭が終わり、次は3巻巻末にあった4巻の予告がとても暗示的です。記憶を失った主人公。そして3人が話しかける主人公のイメージはバラバラで主人公は悩む。なかなか管理人的には好きな絵です。
今回の生徒会劇の主人公を燈子先輩がつとめます。燈子先輩は亡くなったお姉ちゃんのようになることを目指します。
「澪と七海さんはあまり似てないな」
橙子先輩は自分の考えているお姉ちゃんを目指していますが、お姉ちゃんと同級生で生徒会も一緒だった市ヶ谷さんにこう言われてしまいます。自分の知っているお姉さんと違うお姉さんのイメージに橙子先輩は動揺します。
「侑は私のこと好きにならないでね?」
橙子先輩は自分のことが嫌い。燈子先輩が好きではないことを好きだという人を好きになれない。だから侑は自分のことを好きにならないで。
はい橙子先輩、病んでます。
……どんな理屈よ。むー。橙子先輩はやっぱりマジ基地かも。4巻は全体に比較的まともな感じなんですけど3巻の雨宿り(P.86)の表情とか、かなりまずいですよね。橙子先輩は侑ちゃんが簡単に変えられるようなキャラではない感じですけど、侑ちゃん大丈夫かなぁ。
わたしのXXXもののこと 嫌いって言わないでよ
「ばか」
この前のシーンで、燈子先輩が言っていたことの反語です。
自分が嫌いなことを好きな人を好きになれないよね、をひっくり返しています。好きなことを嫌いて言わないで、ってことですよ。それを考えて解答しましょう。
解答例:
わたしのXXXもの → わたしのすきなもの
当然侑ちゃんが好きなのは橙子先輩。侑ちゃん、事実上の橙子先輩ラブ宣言ですね!
「先輩のばーか」
あら、侑ちゃんかわいい!
侑ちゃんは橙子先輩、というよりきっと初めて人のことを好きだって認識できたかもしれないのに、口から出てきたのは「ばーか」。かわいいね、侑ちゃん。一歩間違えばメンヘラペアですが、かわいいから許す。
おまけ: 沙弥香ちゃんがちょっと悲しい。
今回は沙弥香ちゃんが悩み多い巻でもありました。このシーン好き。理性的な沙弥香ちゃんも裏ではひとりでモンモンとしています。人間関係的には、
侑ちゃん ⇄ 燈子先輩 ← 沙弥香
って感じで、沙弥香ちゃんだけがひとりぼっちです。
個人的には沙弥香ちゃんが幸せになってほしいキャラです。4巻幕間の「初恋はいらない」で沙弥香ちゃんの初恋の人が出てきますが、こんなタイトル自体沙弥香ちゃんがふびんでなりません。だれかもっと大事にしてやれよ。なんとなく沙弥香ちゃんは幸薄そうで気になってしまいます。
ということで、いろいろと話が進んできた4巻でした。
侑ちゃんも燈子先輩も変化する直前みたいな雰囲気ですね。これっていい方向に変化したらハッピーエンドですけど、悪い方向に向いたら破壊的になりますよね。橙子先輩のメンヘラ、大丈夫かな……。ブチ切れたら怖そう。
侑ちゃんも橙子先輩も悩みながら進んでいます。それがどんな形で目の前に現れるでしょう。生徒会劇はどんな脚本に変更され、どんな結末を迎えるのでしょう?いまから5巻が楽しみです。おすすめです!
<1巻丸ごと試し読み>