勤務医開業つれづれ日記・3

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【感想】銃座のウルナ 3 伊図透 それぞれに正義はある。それが戦争……【ネタバレ漫画レビュー】

 

銃座のウルナ3巻出ました!

自ら戦地を志願したウルナがヅードとの謎に包まれた戦いに挑みます。辺境の島リズルの異形の蛮族ヅード。少数民族である彼らと戦っている女性だけの分隊に狙撃兵ウルナが配属されます。戦いの結末は?そして少数民族であるヅードの運命はどうなるのでしょう?

 

装備や雰囲気は第二次世界大戦の北欧やソビエトを彷彿させます。全てを覆い尽くすような白い雪に覆われている戦場です。彼女は戦場で何を見るのでしょう?なかなか読ませる作品です!

 

銃座のウルナ 3<銃座のウルナ> (ビームコミックス)

ウルナ・トロップ・ヨンク…狙撃手として、戦場で生きると決めた彼女。謎に満ちた過酷な戦争を生きる女たちの、胸引き裂かれる悲劇をえぐり出す圧倒的SF巨篇、大ボリュームで殲滅戦の行方を描く怒濤の第3巻。

 

 

1巻

銃座のウルナ 1<銃座のウルナ> (ビームコミックス)

 

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辺境の島リズルに狙撃兵として配属されるリズル。周りは雪におおわれている。ウルナは志願兵で、みずから戦場に出ることを望みました。

 

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右が分隊長のボウミ軍曹で、左で「あら新米さん」って言っているのが民間研究者のラトフマ。蛮族ヅードの研究をしています。ふたりはとっても仲良しさんらしいです。

 

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もともと研究施設だったところを軍事要塞化したケニティ基地。ジャンプ台を使ったヅードの「蛮躍」を狙撃することが重要な任務になっています。

 

 

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辺境の島リズルから遠く離れたエコールが主戦場らしい。カレットはエコール戦線の経験者で、激戦区に行って戦果をおさめて年金暮らしするが夢。ちなみにカレットはウルナの来る前の狙撃担当だったが、あまり成績は良くなかったようです。

  

2巻 

銃座のウルナ 2【電子特典付き】<銃座のウルナ> (ビームコミックス)

 

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ヅードに捕らえられたウルナ。そこでラトフマがヅードと内通していることを知る。ヅード研究をしているラトフマがこの戦争の謎を語り始めます。

 

ヅードは異形として兵士には見えていますが、それにはからくりがあります。ラトフマによると、少数民族であるヅードに対して、女性ばかりの分隊であっても戦えるように軍は耳につけている認識票で臭くて異形に見えるように兵士をあやつっている、というのです。

 

ウルナはボロボロになりながらヅードからのがれて基地に戻ります。 

 

3巻

銃座のウルナ 3<銃座のウルナ> (ビームコミックス)

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いままでは積極的な戦闘を行って来なかった軍ですが、今回は徹底的にヅードを叩くよう戦略を変更します。艦砲射撃によるヅードの殲滅作戦が開始されます。着弾が見えてから振動がおくれて伝わる感じがすごいリアルです。

 

 

 

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「小さな嘘はどんな人間でもつけるものだが

大きな嘘は組織にしかつけない

それも強靭な組織にしかね」

 

今回の作戦のために軍から送られてきた上官のセリフです。 すでに残存するヅードは数百単位らしく、さらに圧倒的な火力で山の形を変えるぐらいの攻撃をします。

 

 

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戦いが終わり、ウルナはラトフマの遺体を見つけます。ヅードの民族衣装をつけてヅードたちと一緒に戦ったようです。

 

そしてウルナは耳につけている認識票を外します。これだけで軍法会議ものです。

 

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ラトフマの手にヅードの毛というか触手が触れています。

 

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認識票を外したウルナの目には、ラトフマの手をしっかりとにぎるヅードの手が見えます。袖の模様もラトフマが着ている民族衣装と同じ柄です。ヅードも普通の人間で、ウルナたちはヅードが異形に見えるように軍に操作されているのです。

 

ウルナとカレットの百合シーンもありますが、ふたりの最後も哀しいものでした。 

 

 

 

ということで、なかなかに読ませる3巻でした!戦いにおける非情さと選択肢がほとんどない中で、ひとりひとりが一生懸命に前を向いて進もうとしている姿に胸が痛みます。

 

ウルナは故郷を背負って愛国心や郷土愛で戦います。ラトフマは迫害された少数民族への共感と、おそらく情報をゆがめている軍への反発で戦います。そしてカレットは貧困の極限から抜け出すために激しく戦うことを希望します。それぞれお互いに正義を背負って戦うわけです。

 

そしてこの作品にはまだ多くの部分が謎のまま残っている感じです。今後も注目の作品だと思います。おすすめです!

  

 

 

ちなみに銃座のウルナを読んでいて、管理人はどうしても第二次世界大戦のフィンランドの冬戦争や継続戦争を思い出してしまいます。

 フィンランド戦記1「雪中の奇跡」

 

めちゃくちゃ時間泥棒ですからご注意を!はまるぞ、ぜったい!!

覚悟して見てください。第二次世界大戦のフィンランドって本当に大変!すごくフィンランドに感動すること間違いなし。フィンランド人の覚悟の決め方が日本人の気質に合っているかもしれません。主なエピソードだけでもすごいです。

 

● 小学校の校長先生が将軍になり、連戦連勝

● フィンランド900人の犠牲に対し、ソ連軍27,500人を倒した(30倍)。

● コッラの戦いでフィンランド軍32人で4000人のソ連軍を退ける。

● 狙撃兵シモ・ヘイヘ 史上最多の505名射殺、兵長から少尉へ5階級特進

 

「フィンランド冬戦争」で検索すると大量の情報があります。「銃座のウルナ」読むような人なら絶対興味あると思います。

 

 

ご参考になりましたら幸いです。