【感想】「それでも町は廻っている(16)」石黒正数 「それ町」完結、感動のエピローグ。11年間お疲れ様でした!【ネタバレ漫画レビュー】
「それでも町は廻っている」16巻出ました!
11年間連載終了です。石黒先生、お疲れ様でした。雑誌連載終了時はどうしようかと思いましたが、単行本のエピローグではきっちり読ませてくれました。文句なしのフィニッシュに涙腺がきゅっときましたね。
でも、これで「それ町」のみんなとお別れかと思うとさびしいです。歩鳥ちゃんも紺先輩もお別れなんですね。トシ子ちゃんもいい味出してたな。
雑誌派の人もエピローグ読むために16巻だけは買って読んだ方がいいですよ、と声を大にして言いたい「それ町」です。みなさん、お疲れ様でした!!!
いつも愉快な歩鳥が大ボケかまします!究極の天然が巻き起こす想定外なハプニング続出!個性あふれる下町商店街のメンツに爆笑必至、下町の人々の人情味も味な抱腹絶倒ギャグコメディ!11年にわたる大人気シリーズ遂に終幕!
雑誌の最終話、読みました?私はちょっと衝撃受けましたね。11年間連載の最終話としてはいかがなものかと。まあ「それ町」だからありかもしれませんけどね。
ところが、16巻の単行本ではさらにエピローグがついています。
これがすごいいいでやんの!!
このエピローグは本当に感動しました。なんだかスッキリした感じがします。同時に、11年間の連載が本当に完結したさみしさが一緒に感じられてちょっと複雑でした。
ああ、「それ町」本当に終わっちゃったんですね。
以下、16巻のネタバレです。
真田君と俊子ちゃん(タッツン)はいったいどうなるんでしょう?
俊子ちゃんは真田君のことが好き。でも告っちゃうと、みんながいて真田君が時々来るメイド喫茶シーサイドの雰囲気が変わっちゃいます。歩鳥の好きな「いつもの感じ」がなくなってしまいます。
でも、俊子ちゃんは真田君に告白すると決心しました。はたしてその結果は……?
歩鳥、探偵編の最終事件ですね。
森秋先生の補修をうけていた歩鳥に脅迫状が届きます。歩鳥に対するものか、森秋先生に対するものか……?歩鳥の推理が冴え渡ります。
でも、結末は少しだけ苦いもの。
本当に事件が起きた時には被害者と加害者がいて、探偵が真実を暴いたところでみんな傷つくことに気づきます。
元ネタはこれだよね。QUEENベスト盤です。こぶしを上げているのは婆ちゃん。
俊子ちゃんが受験のためにメイド喫茶シーサイドのアルバイトを辞めることになりました。歩鳥も受験生なんだけどアルバイトはやめない様子です。
婆ちゃんはこの機会にメイド喫茶をやめ、普通の喫茶店シーサイドに戻します。もともとメイドカフェを言い出したのは俊子ちゃんだったしね。
でも、なんだか少しずつ魔法が解けていく感じです。読者としてはさみしいです。
128話と次の最終話で一つのお話になっています。
歩鳥の胸に書いてある"Tamam Shud"は、タマム・シュッド事件 (the Tamam Shud Case)からきているのかな。知っていた、この事件?私は知りませんでした。
事件は、遺体のズボンの隠しポケットから見つかった紙片に、ペルシア語で「終わった」、「済んだ」という意味を表す「タマム・シュッド」("Tamám Shud")という語句が記されていたことに因み名づけられた。
ペルシア語で「終わった」、「済んだ」という意味の"Tamám Shud"。ファイナル、っていう意味だけなのか。あるいは最大の未解決問題、っていう意味をもたせているのか。相変わらず石黒先生はいろいろと張り巡らしていて気になりますね。
歩鳥の存在と町の運命をかけたスイッチ。歩鳥は押すことを決めたのでしょうか、それとも……。
内容はぜひみなさん読んでみてください。ちなみに、雑誌連載終了時はこれでフィニッシュです。
「良いオチが思い付かないよーっ」
お し ま い
……これでおしまいかよ!
読んだときはちょっと衝撃走りました。まあ、「それ町」だからこんな終わり方もありでしょう、と思いました。でもね、これでいいのか「それ町」。そう思いましたね。終わっちゃったけど、まあしょうがないかな、って感じでした。
ところが、いい意味で裏切ってくれました。単行本には続きがありました!
歩鳥のそれからです。
このエピローグが最高でした!
「それ町」を読んでいたすべての人にこのエピローグを読んでほしいです。歩鳥の成長と、その目指していた方向に感動しました。これからも頑張れ、歩鳥ちゃん!
でも、本名じゃないのにみんなよく分かったな。
嵐山歩鳥 → 風ヶ丘飛鳥
だから、歩鳥じゃなくて誰かが言いふらしたのかな?歩く鳥が飛ぶ鳥になって、嵐の山が風の丘になってエピローグとは、粋ですね。
それと同時に、「それ町」の世界はみんな少しずつ変わってみんな成長したのを感じました。もうあのころのおバカ要素のつまった「それ町」ではないんですね……。子供が成長して巣立つ親の気持ちになってしまいました。
雑誌終了のオチのないオチならあきらめもつきました。おわっちゃったな、まあ終わってもしょうがないかって思える感じでしたから。
でもエピローグにこんな素晴らしい話を持ってこられたら、残念すぎて終わってほしくなくなったわ!
ぜひ、エピローグを読んだ後にカバーをめくってください。
そこにはエピローグの後の歩鳥ちゃんが見えます。その姿が何を意味するか、エピローグを読んだ人にはわかります。
歩鳥ちゃんはこちらを振り向かずに前に向かって行っちゃうんですね。さみしい。終わらないでほしい気持ちでいっぱいです。
でも頑張れ歩鳥ちゃん!
というわけで、万感の思いを込めて「それ町」の旅立ちを見送りたいと思います。
さようなら「それ町」。11年間ありがとう。本当にいい漫画でした。登場人物の皆さん、関係者の皆さん、そして石黒正数先生、お疲れさまでした!
ご参考になりましたら幸いです。
公式ガイドブックが同時発売です。レビューも書いていますが、これは絶対に買って損はないですね。「それ町」を2倍楽しく読むことができると思います。
kaigyou-turezure.hatenablog.jp
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それでも町は廻っている 公式ガイドブック廻覧板 (ヤングキングコミックス)
単行本に収録されることのなかった未収録マンガ4本にそれ町読者が待ち望んでいた年表に加え、全キャラを描き下ろしした設定集も収録。
カバーも描き下ろし、それ町完結にふさわしいトリビュート本!
最終巻と一緒に必ずゲット必須!