勤務医開業つれづれ日記・3

雑記ブログです。マンガや書籍、医療関係について書いてます。サブブログ「院長の漫画カルテ」http://manga-karte.hatenablog.comで【速報】中!

【注意】遅延型フードアレルギー検査、アレル・チェックはアレルギー検査として意味ありません。【まだやっているのか!】

(2018.03.15追記)

 

 

 

私は日本アレルギー学会の専門医です。

最近、「遅延型フードアレルギー検査」とか「アレル・チェック」とかを持ってくる人が時々います。昨日3月13日にはあちゅうさんがTweetで取り上げています。でもご注意ください。 

 

「遅延型フードアレルギー検査」「アレル・チェック」はアレルギーのIgE検査じゃなくて、別のIgG検査なんです。意味ない検査なのです!

 

 

 

lineblog.me

 

 

専門家として、あまりに眼に余るのでブログ記事にさせてもらいます。

 

かんたんに結論から言います。

 

「遅延型フードアレルギー検査」「アレル・チェック」にアレルギー検査の意味はありません。

 

これらの検査はIgGを測定しているだけで、アレルギーのIgE検査ではありません。アレルギーとは関係ない検査ですので、これをもとに食事療法などを行うことは大変危険です。

 

 

 

普通の病院の検査は大丈夫

「遅延型フードアレルギー検査」「アレル・チェック」はネットで自分で取り寄せて自宅で採血したものを郵送するか、全額自己負担で自由診療を行なっている美容クリニックなどでやっているようです。自己負担はネットでは3〜6万円、家族セットで14万円のようなものもあるみたいです。

 

普通の保険が効いている病院、診療所では「遅延型フードアレルギー検査」「アレル・チェック」は行われておりません。ご安心ください。

 

普通の病院でアレルギー検査しましょうね、といわれても大丈夫です。その場合、保険がききますので3割負担の場合、検査代で5000円弱になります(今年H30年4月に点数改定がありますので変更される場合があります)。

 

「遅延型フードアレルギー検査」「アレル・チェック」は保険が適応されておりません。なので全額自己負担なのです。NATROM氏「「ニセ医学」に騙されないために」にもあるように、本当に大切な検査だったら保険が適応されているはずです。ちなみに「「ニセ医学」に騙されないために」 は大変良著です。ご参考にしてください。

 

 

日本アレルギー学会が全面否定

日本アレルギー学会の公式サイトで注意喚起されております。

 

1)日本アレルギー学会

www.jsaweb.jp

 

〔学会見解〕血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起

 

学 会 見 解 

 

血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起

 

米国や欧州のアレルギー学会および日本小児アレルギー学会では、食物アレルギーにおけるIgG抗体の診断的有用性を公式に否定しています。

 

その理由として、以下のように記載されています。

 

すなわち、①食物抗原特異的IgG抗体は食物アレルギーのない健常な人にも存在する抗体である。②食物アレルギー確定診断としての負荷試験の結果と一致しない。③血清中のIgG抗体のレベルは単に食物の摂取量に比例しているだけである。④よって、このIgG抗体検査結果を根拠として原因食品を診断し、陽性の場合に食物除去を指導すると、原因ではない食品まで除去となり、多品目に及ぶ場合は健康被害を招くおそれもある。

 

以上により、日本アレルギー学会は日本小児アレルギー学会の注意喚起を支持し、食物抗原特異的IgG抗体検査を食物アレルギーの原因食品の診断法としては推奨しないことを学会の見解として発表いたします。

 

参考文献:

Stapel SO, et al. Allergy 2008; 63: 793-796.

Bock SA. J Allergy Clin Immunol 2010; 125: 1410.

Hamilton RG. J Allergy Clin Immunol 2010; 125: S284.

日本小児アレルギー学会ホームページ:

「血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起」

 

平成27年2月25日

一般社団法人日本アレルギー学会

理事長 斎藤博久 

 

遅延型フードアレルギー検査、アレル・チェックで陽性で出ても意味ありません。普通の人でも陽性出ますし、食べた量に比例してIgGの値が高くなります。この検査で測るIgGとアレルギーとは無関係です。

 

 

関連の学会や論文も多数

2)日本小児アレルギー学会

日本小児アレルギー学会ホームページ:

「血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起」

 

3)食物のIgGについて

Testing for IgG4 against foods is not recommended as a diagnostic tool: EAACI Task Force Report. - PubMed - NCBI

 

4)食物のIgG検査について

CSACI Position statement on the testing of food-specific IgG

 

5)

Clinical laboratory assessment of immediate-type hypersensitivity. - PubMed - NCBI

 

6)

「遅延型」食物アレルギー検査に注意 | 衣・食・住 | NHK生活情報ブログ:NHK

こちらで斉藤先生が注意喚起しております。

 

 

それにくらべて、「遅延型フードアレルギー検査」「アレル・チェック」を支持するような論文や学会は見当たりません。

 

 

アレルギーはIgE、IgGではない

今回の件は、アレルギーの原因であるIgEではなく全く関係ないIgGを測定しているということです。

 

正規代理店とかいうHPを見てみると、きちんとした解説ではIgEでアレルギーの説明をしていて、次のページにとぶとIgEとは別のIgGを詳しく調べますよ、って書き方になっています。ごまかしですね。そして根拠になる論文などは一切ありません。詳しく調べられると困るんでしょう。

 

 

平成26年から警告が出ています

とにかく、有名人がこういう検査を勧めたりするのは本当に困ります。患者さんが「こんな検査結果出てます」と持ってくることがあります。3〜6万円ぐらいかかっているようです。意気揚々と検査結果を出す患者さんに向かって「この検査は意味ないです」っていうのがつらいです。

 

昨年ぐらいから増えている印象ですが、平成26年には小児アレルギー学会、平成27年には日本アレルギー学会から注意喚起が出されています。かなり前から専門では意味ないと言われています。ご注意ください。 

 

 

 

日本人がアレルギーを見つけたって覚えて欲しい

日本人として本当に悲しいのは、アレルギーの原因であるIgEを発見したのが石坂公成先生で、まさにノーベル賞級の発見だったのですがすっかり忘れ去られているということです。いまでも自分はノーベル賞を受賞してもおかしくないと思っています。石坂先生は夫婦そろってジョンズ・ホプキンズ大の教授をつとめ、さらにはアメリカ免疫学会の会長も務められていました。 

アレルギー物質:夫婦で研究、苦楽共に…発見発表50年 - 毎日新聞

 

その後も日本はアレルギーや免疫領域で数々の業績を残しています。日本が誇るアレルギー研究に比較して、一般の方の理解が進んでいないのはとても残念です。せっかく日本が世界に誇る領域なのに、一般ではアレルギーに関するエセ医療がそこら中に見受けられます。マスコミや有名人のおかしな行動が原因で、もしかすると逆にアレルギーを引き起こすことになる可能性もあります。きちんとしたアレルギーに対する理解が必要です。 

 

 

まとめ

IgE検査がアレルギーの検査です。

でもIgE検査が陽性であってもアレルギーとは限りません。

IgG検査は全然関係ない検査です。

IgG検査で食事制限するのは逆に危険です。

 

今回の「遅延型フードアレルギー検査」「アレル・チェック」はIgG検査ですから3〜6万円もかけてやったとしても何の意味もありません。きちんとしたIgE検査ですら実際に症状が出ていなかったら食事制限の必要はありません。IgG検査の結果で食事制限をすると過剰な制限ですから、あらたにアレルギーが出る可能性があります。ご注意ください。

 

 

<追記:新しい記事で質問にお答えしています>

kaigyou-turezure.hatenablog.jp

 

 

<こちらは一般向けの「ニセ医学」に関する本。良著です> 

 

<これも良著。「フェルマーの最終定理」のサイモン シンです> 

 

<日本小児アレルギー学会のガイドラインです(医師用)>

 

<日本小児アレルギー学会の本です(医師用)>

 

<日本小児アレルギー学会の海老澤先生監修のレシピです(一般向け)> 

 

<日本小児アレルギー学会の海老澤先生の本です(一般向け)> 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ご参考になりましたら幸いです。 

 

 

 

 

<当ブログ医療記事>