勤務医開業つれづれ日記・3

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【体罰容認?】ジャズトランペッターの日野皓正さん コンサート中にドラムの中学生を往復ビンタ【ADHD?】

 

世界的なジャズトランペット奏者である日野皓正さんが 中学生をビンタしたということで大変話題になりました。

www.dailyshincho.jp

 

テレビ番組でも色々言われているみたいですが、個人的にはなんだか的外れな意見がいっぱいあるように思えてなりません。

www.kansou-blog.jp

 

 

今回、私は体罰は反対である、ということとこのような一見異常な行動をとった学生さんは実は発達障害、特にADHDだったのではないかという視点でお話ししたいと思います。最初にお断りしておきたいのは、報道されている部分からの判断であり、実際の所は分かっていないので断定はできない類推である、ということです。

 

 

 

論点

色々言いたいことはありますが、今回の論点を2つに絞ってみたいと思います。一つは体罰の可否。二つ目は子供の発達障害の可能性。特にこのお子さんはADHDなどがあるのではないでしょうか。

 

 

体罰

体罰がいい、少なくとも昔そうやって育った。そういう方がいっぱい出てきました。正直驚きました。本当にいいのでしょうか?少なくとも科学的なデータは一切ないと思われます。

 

私は科学的な見地から、体罰が素晴らしいのなら、どのような体罰が成績を伸ばすのかデータを示してもらいたいものです。

 

1)どのような状況で(1対1、1対多、多対多、親子、兄弟、指導者、チームメイトなど)

2)どのようなものを使って(平手、蹴り、竹刀、ムチなど)

3)どの程度の強度で(音がする程度か、身体に障害が起こる程度か、障害があるならどの程度か)

4)どの程度の頻度で(一日に何回か、1時間に何回か)

 

行えばいいのか示してほしいものです。もしもそれで普通のパフォーマンスが改善され、とてつもない結果が出せるのならそれを実証してほしいです。

 

子供は体罰されていいけど大人への体罰はだめ、というのはあまりにもバランスが悪いので、これもデータ検討してほしいです。

1)性別、年齢をランダマイズしてトライアルする

2)プロスペクティブの大規模スタディをおこなう

 

つまり全年齢で数万人から数十万人に計画的に体罰を加えて、それによるパフォーマンスを比較する、ということです。子供から大人、老人までありとあらゆる年齢に体罰を加えて、最も体罰の効果的な年齢を性別、効果的な体罰の方法を検討してもらいたいです。それで有意差が出たら今後、限定的に体罰が使用されるようになるでしょう。

 

体罰を与えるのいいけど受けるのは嫌だ、という方がほとんどなのではないでしょうか?逆に体罰を与えるのがいいのなら、有効な場面なら体罰賛成派の人に体罰を加えることもいいということなのでしょうか?体罰賛成派であっても、自分は体罰を加えられてもいいです、という人は全くいないようなのですが、どうなのでしょう?

 

 

子供の発達障害?

みなさんはこのような場面になったら大人は暴力を働いてもいいとお考えなのでしょうか?体罰や厳しいしつけはこの場合に関しては許されるものなのでしょうか?わたしは個人的には全く反対の意見です。

 

今回、ドラムソロを全く止めなかった少年はどのような生徒さんなのでしょう?ここからはあくまで推測で書きますのでご容赦ください。なお、この文章は厚生労働省およびJASS0(日本学生機構)をベースに書いております。下記参照してください。

 

私は報道があって、すぐにこの学生さんはADHDなのでは?とくに多動型なのでは?と思いました。ADHDのお子さんは周りが見えなくなって、周囲からすると異常な行動を取っても雰囲気がわからず自分では止められないません。ADHD(注意欠如・多動性障害)は発達年齢に見合わない多動‐衝動性、あるいは不注意、またはその両方の症状が、7歳までに現れます。学童期の子どもには3~7%存在し、男性は女性より数倍多いと報告されています。 

 

ADHDの多動型の場合は、衝動を抑えることができず、やりたいことをやらずにはいられません。もしかしたらこの学生さんはドラムに対して衝動が抑えられなかったので超ロングソロを行い、怒られてスティックを取り上げられてもなお手でドラムを叩いていたのかもしれません。自分では抑えられないような衝動でどうしようもない状況だった可能性があります。

 

ADHDの教育のポイントはとにかくほめることです。ADHDには「ジャイアン型」(多動・衝動型)や「のび太くん型」(不注意型)とその混合型がありますが、どちらのタイプでも暴力や体罰、強引なしつけはNGです。

 

もしも仮にこの学生さんが発達障害ADHDだとして、衝動的にコンサートをぶち壊すようなロングソロを行なったとしたら見方は全然違ってくると思います。みんなが見ている前でスティックを取り上げ怒鳴りつけ、髪の毛をつかんで平手打ち、というのは教育方法としては最悪です。

 

本人は自分の意思とは関係なく衝動的に動きを止めることができない状態だったのかもしれません。一体どうしたらよかったでしょう?たとえば、あぶないのでスティックは取り上げて、あまったスネアドラムか何か叩けるバケツでも手で叩いてもらいながらお客さんに「わお!ドラムすごいぜ!!」とか言ってもらいながら大歓声の中、抱えて裏方に連れ出すとかできたらよかったと思います。子供は思ったようにはいかないので、部外者が簡単にいうなと言われると思いますが、そのような発想すらまったくオモテに上がっていないこと自体が問題なのではないでしょうか。

 

親御さんが日野さんの暴力を肯定していますが、親だから殴れなかっただけで、実は自分も子供を殴りたかったのかもしれません。ADHDという視点がなく、単に変な子供という印象だったのかもしれません。そうなると代わりに殴ってくれた日野さんありがとう、ということになるかもしれません。私だったら自分の子供を殴られたらありがとうなんて思うことはできません。ただし、これはあくまで個人的な意見であり、実際にはきちんと専門家によって診断を受ける必要があります。

 

音楽に関してはベートーベンやモーツァルトがADHDであったと言われているように、条件が整うと素晴らしい才能を発揮する可能性があります。体罰や厳しいしつけはADHDに合併する二次的なウツや自己評価が極端に低くなる原因になります。決していいことはありません。お子さんの才能をつまないためにもこのような体罰や暴力を肯定することはできないと思います。

 

 

 

 

一般にはあまり知られていませんが、平成28年度(2016年度)に「障害者差別解消法」が施行されまして、教育機関でADHDや発達障害を含む障害者に対しての差別的な扱いが禁止されました。

 

障害といえば、視覚障害や四肢の障害などを思い浮かべるかもしれませんが、ADHDや学習障害など発達障害や、精神障害に対しても大学側はいろいろな対策を取ろうとしています。大学に入学する前や、大学入学後もサポート体制が色々できてきています。

 

より多くの人が障害を乗り越えて社会に出ようとしています。それなのにあまりにも逆行するような報道が多くて信じられません。「おかしな奴には体罰容認」とか「今はダメだけど昔は暴力当たり前だった。それでよかった」とか、そんなことをいうようではあまり時代錯誤です。そしてそれをきちんということができない雰囲気もおかしいと思います。みんな体罰容認なんですか?

 

まとめ

以上より、当管理人の意見としては(1)科学的に実証されている体罰の有効性はない。(2)仮に少年が発達障害(特にADHD)であったと仮定すると、体罰は教育としては最悪の選択であった、ということです。

 

ADHDなどの発達障害は小・中学生の6.5%にその可能性があり、子供の教育や医療に関係する人間が知らずに済ませることはできません。あくまで仮定の話ではありますが、このような報道が発達障害の人々にマイナスであることは否定できず、時代に逆行する報道であると私は考えます。

 

 

 

 

 

<関連記事>

2012年12月 日経新聞 小・中学生 発達障害の可能性は6.5%

小中学生の6.5%に発達障害の可能性 4割は支援受けず :日本経済新聞

 

<参考サイト> 

こころの病気を知る 厚生労働省 

発達障害|病名から知る|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省

 

AD/HD(注意欠陥/多動性障害)の診断と治療 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト 

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-04-003.html

 

 

JASSO(日本学生支援機構)

障害学生修学支援ガイド

教職員のための障害学生修学支援ガイド - JASSO

 

障害のある学生への支援・配慮事例 

発達障害・LD及びADHD - JASSO

 

障害学生に関する紛争の防止・解決など

障害学生に関する紛争の防止・解決等事例集 - JASSO

 

 

 

 

 

ご参考になりましたら幸いです。