勤務医開業つれづれ日記・3

「このマンガがすごい!2021」参加してます。あふれる”好き”を形に。マンガ感想とか書評を中心にしたブログです。

【感想】『神・時間術』樺沢紫苑 (著) 生理学的な日内周期をもとにした1日の使い方が最強だった!

 『神・時間術』読みました!

すごいいい本です。特に忙しい日本の現代人にあった本だと思います。

 

日本の生産性は先進国ではダントツ最下位

 

ということは、逆にいうと生産性をあげるだけで日本ではトップに立つことが可能です。そして実際に先進国ではそれを行なっているわけです。不可能な提案ではありません。

 

日本人の生産性はもっと上げられる!

 

樺沢先生はそう訴えているわけです。朝・昼・夜のそれぞれの時間について最高のパフォーマンスをするためのノウハウが書かれています。さらに時間を作り出す方法、リフレッシュする方法が取り上げられています。

 

樺沢先生の本はどれもすごい勉強になります。でも、一行一行に詰まっている情報が多すぎてこの一冊で普通の作家なら何冊書く?ってぐらいです。じっくりと読んで、そして自分のものにしなくちゃもったいない本です。 忙しい人ほど読むべき本だと思います。すごいおすすめでした!

 

 

 

 

著者の樺沢先生は精神科の医師で、多数の著書があります。今回は時間術についてです。

 

最高の人生を手に入れる「神・時間術」4つの原則

この本の特徴は「生理学的に時間マネージメントを考える」というのが根本にあると思います。

 

そして、その先には作者が「日本のうつ病を減らす」という大目標があることを念頭に置いて本を読むとより理解しやすいかと思います。

 

・日本は労働生産性が先進国で最低、自殺率も高い

・韓国やロシア、ハンガリーなど日本より生産性が低い国は自殺率も高い

   ↓

・労働生産性を上げることで労働環境が改善される

   ↓

・自分の時間が増え、自殺率が減る

 

いままでの日本は労働生産性が低いのにGDPが世界3位となっております。言い換えると、長時間労働でど根性で結果を出していた、ということです。

 

さらに現在ではアメリカの方が労働時間すら日本人より長いという統計もあります。生産性が低いのに労働時間も短くなれば、日本はグローバル化には全く対応できないということになります。ただ、日本にはサービス残業というデータに残らない労働時間もあるので簡単に比較はできない点は注意が必要です。 

 

生理学的に優れたパフォーマンスを得る時間活用法とは何か?本書で明らかにされていきます。 

 


脳の機能を最大に生かす集中力の高め方

15・45・90の法則 

生理学的に集中が持続するのは15分、45分、90分です。これは本当に大事な法則だと思います。知らないうちにこの時間に沿ってリズムができていないでしょうか?あるいはこれに逆らって仕事や勉強をしていると急激にパフォーマンスが落ちる経験はないでしょうか?この法則に沿って予定を立てるないと、生理学的に無理をする状況になります。

 

他にも雑念の排除方法、制限時間を決めて仕事をする方法など集中力を高める方法が多数上げられています。

 

 

 

朝の時間を最大に生かす脳のゴールデンタイム術

多くの書籍が「集中力を上げる方法」や「1日を効率的に使う方法」を別々に取り上げていますが、本書はそれらを生理学的な観点から網羅的に取り上げているのが特徴です。そして、そうだと思わなければ気づかれないように、自然な流れで書いてあるのもプロの作家の技量ですね。

 

朝が最高の時間であり、日本人は午前中の時間の使い方が下手だと作者は考えているに違いありません。直接的には書いてませんけどね。逆に作者はそこに自分のアドバンテージを見つけて専業作家になったのでしょう。他の人が気づいていない生産性を利用して著作を重ねているのでしょう。

 

人間の生理学的なホルモン動態から快適な目覚め方、朝のスタートスイッチの入れ方、朝に絶対にやってはいけないことなどが書かれています。一番、苦手な部分だと思いますが、ここを改善すると劇的に1日が変わることになると思います。


昼の時間を最大に生かす午後のリセット術

昼はリセットです。午前中に最大のパフォーマンスをしてからどのように休憩して、どのようにリフレッシュするか。午後に効率を落とさないようにするにはどうしたらいいか。

 

ノウハウは朝や午前中のものとは別です。昼にはランチもとるし、眠くなるし、仕事に疲れてだんだん同じことができなくなってくる。それをいかにしてうまく利用するか、ということになります。午前と午後を上手に制したら、夜は自分の時間になるはずです。


夜の時間を最大に生かす運動&睡眠リセット術

運動がパフォーマンスを復活させる

実際に樺沢先生はパフォーマンスが下がる午後3時ごろにジムに行って体を動かすようですが、一般の人に合わせて夜に運動の項目が入っています。

午前中のパフォーマンスは他の時間では再現できません。ただ唯一運動だけが疲れをリフレッシュすることができます。

 

睡眠は大事 でも日本人の睡眠は良くない

 

人間は寝る前に考えた人間になる

(P.202) 

 みなさんは寝る前に何を考えていますか?意識して寝る前の時間を使っていますか?この時間が大事なのは記憶術ではよく言われています。でも一般の大人の人は軽視しているのではないでしょうか。

 

朝起きるときの生活習慣で「1日」が決まる

寝る前の生活習慣で「人生」が決まる

 (P.193)

素晴らしい言葉ですね。1日1日を大事にするには朝を大切にするべきで、人生を大事にするには夜の時間を大切にしなくてはいけません。

 

朝から晩までずっと仕事で、朝のパフォーマンスが悪く、夜は人生を楽しめないとしたらとても残念なことですね。

 

脳科学に基づく最高の1日(P.213)の図を見てください。こっそりホルモンが載っています。このホルモンの日内リズムに逆らわずにうまくホルモンの波に乗ることこそが最高の1日、最高の人生を作り出す方法なのです。睡眠のメラトニンについては記載がなかったと思いますが、著者の別の本では睡眠についても書かれています(『精神科医が教えるぐっすり眠れる12の法則』)。

 

 

自分なりのまとめ 

本当はこの本は単なるノウハウ本ではありません。ホルモンの日内リズムをベースにした生理学的な人間の行動指針の本です。1日をホルモンに逆らわずに生きるとしたらどうしますか?という本です。

 

自己啓発本と同じような感想が『神・時間術』では多数書かれていますが、表面的なパフォーマンスだけではなく自分は1日を組み立て直すとしたら一体どうしたらいいのか、そしてそれは生理学的に間違っていないだろうか、という読み方をするべき本だと思います。

 

管理人としては生理学ベースの知識が隠れているのが大変勉強になりました。いろいろな本を読んだりして時間活用術についての断片的な知識はあったのですが、このように体系的に書かれている本はありませんでした。

 

1日に人間は6−10万回考えていると言われています。つまりはコンピュータのCPUのクロック数はほぼ変更できないということです。人間の脳は並列処理ができないので、コア数も1で増やすことはできません。そんなPCをうまく使うかどうかは使い手次第です。そして人間のCPUはホルモンベースでコントロールされています。じゃあホルモンに逆らわずに仕事したらいいよね。でもどうやって?それについて書かれた本だと思います。

 

『神・時間術』とは神のような人間を超える方法を得る本ではなく、人間の機能を知り特殊ではない一般の人間における最大限のパフォーマンスを得る方法の本です。それは側から見ると神がかりな時間術かもしれませんが、たしかな裏付けがあるものなのです。かなり勉強になった本でした。すごいおすすめ。

  

 

 

 

 

 

 

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