勤務医開業つれづれ日記・3

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【退職】スタッフの急な退職 院長、経営者側の対応(1)辞める職員のボーナス減額について【ボーナス泥棒?】

医療現場ではスタッフが急に辞めることが時々あります。うちのクリニックではあまり多くはありませんが、ときどき退職があります。今回は急なスタッフの退職のお話です。かなりフェイク入りますので辻褄が合わないところはご了承ください。

 

 

 

今回は退職者に関するボーナスの取り扱いについて、調べたことを書いておきたいと思います。

 

 

今回退職するのは、高校の新卒で昨年働き始めて1年目の医療事務です(以下、Aと略します)。医療事務はリーダーが1人(以下、B)、専門学校卒の1人(以下、C)と今回辞める高卒のAの3人です。高校卒業の今回止めるスタッフAは昨年4月から勤務で、ちょうど勤務丸1年になります。

 

 

「6月末で退職したいです」先日突然、医療事務のAから退職希望を言われました。その時にピンと来ました。

(ああ、ボーナス泥棒か)

どうしたって経営者側からしたらそう思ってしまいます。小さなクリニックですから、ちょっとしたことでもいろいろ打撃を受けてしまいます。

 

 

 

退職者に関するボーナスに関してはネット上ではいろいろな情報が入り乱れています。

おおむね、1)ボーナス大幅減額されてもしかたない、という意見がおおいようです。しかし2)ボーナスはある程度出さないといけない、という情報もあります。どうなっているんでしょうね?

 

1)ボーナス大幅減額?

ネット上では、ボーナスはいままでの業績に加えてこれから将来の期待を込めて出すから、退職予定なら期待値がゼロ。ボーナスも大幅減額されても文句がいけない、という意見が多いです。理由としては、給与ではなく賞与は労働基準法に記載がなく、法的な拘束がないということで勝手に会社が決められる、という意見が圧倒的です。

 

わたしも院長として、ぐらっときました。 急に辞めるスタッフにボーナスなんかだす必要ないですよね?経営者としたらすごい悪魔のささやきのような感じです。

 

でも、社労士さんに相談したらなんだか渋い顔をします。どうしてなんでしょう?

 

2)ボーナスはほぼ予定通り出す?

うちの社労士さんはボーナスの大幅減額を勧めませんでした。いったいどうしたことでしょう?

 

社労士さんの話によると、どうやらあまり大幅な減額は良くないようです。少なくとも公的機関に駆け込まれると弱いらしい。

 

その法的な根拠はベネッセコーポレーション事件(東京地判平8.6.28 )によるようです。

労働基準判例検索-全情報

 

ベネッセコーポレーション事件は簡単に言うと、退職するからボーナス8割カットしたけどいいのか?という裁判です。判決では、

ボーナスはこれからの期待の部分も入っているけど、

期待部分は2割程度

という結果になっています。8割もの減額は認められないということらしいです。ただし2割までは期待部分として退職時に減額可能、という判決です。

 

ですから全額カットとか、大幅減額はあまり良くないし最終的にはまずい展開になりそうです。

 

ただし、すべての会社がボーナスを減額できるわけではありません。

しかも2割削減というのも状況次第です。就業規則によっては満額で払わないといけません。当院は減額無しで10割満額で支払うことにしました。

理由は以下の通りです。

 

 

3)賞与を就業規則で規定すると支給義務がある

各会社の規約にもよると思いますが、ふつうの規約ではあまり大きな減額はやめておいたほうが無難です。規約によってはまったく減額自体ができません。規約を見てみましょう。ポイントは2つ。

 

(1)ボーナス支給日に在籍している人だけ?

ボーナス支給日に在籍していないと支払われない、という文章があるか?「支給日に在席している社員のみ」という文言がないと、すでに退職していても請求があると支払わなくてはいけない場合があります。

 

(2)ボーナス査定対象期間があるか?

たとえば「6月賞与の査定対象期間は、前年11月1日から当年4月30日まで、12月賞与は、5月1日から10月31日まで」としている場合は、その期間在籍していてふつうに勤務していたら減額する理由がありません。将来の期待に応じて賞与を出す、という規定がなければたとえ退職予定であっても満額で出さなくてはいけません。

 

うちはこの(2)に該当しますので、ボーナス査定対象期間にふつうに勤務していたら減額する理由がありません。まあ、しょうがないですよね。

 

 

4)まとめ

結局はボーナスは満額支払いが無難です。ただしいろいろな条件がありますが2割までの削減は可能です。判例からいってもボーナスの大幅減額はまずいです。しかし退職者が泣き寝入りするのを狙ってやる会社が多いようです。できる限り経営者としては支払うものを支払って、クリーンな経営をしていきたいものです。

 

当院の退職金は中退共ですので、1年で退職だと退職金が出ません。だからボーナスを退職金代わりにして未然のトラブルを防ぐ、ということにしました。

 

 

 

人が辞めるときにはそれぞれ思惑が絡むものです。お互いに発展できるようなお別れの仕方ができたらいいですよね。

 

 

 

ご参考になりましたら幸いです。

 

 

 

 

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ボーナス関係の記載はありませんが、労務関係充実の一冊です。

「負けに不思議の負けなし」経営者必読書だと思います。