【感想】『幼女戦記(5)』東條 チカ、カルロ・ゼン 前線突破、首都の軍事施設を直撃だと!?【ネタバレ漫画レビュー】
『幼女戦記』5巻出ました!
いよいよダキア戦です。4巻で鍛えに鍛えた直属の大隊に早速出撃命令が下されます。デグちゃんが自ら鍛え上げた帝国の近代式軍隊で、前近代の「ボーイスカウトのような」敵軍を粉砕します。
めちゃくちゃに面白いです! やることなすこと全て裏目にでるデグちゃんですが、戦果だけは超一流。だからさらに激烈な戦場に派遣されるてしまいます。頑張れば頑張るほど墓穴を掘るジャパニーズビジネスマン的な悲哀を感じます。
3ヶ月連続刊行という、これまた狂気のスケジュールをこなしている関係者のみなさん、お疲れ様です。6巻は6月10日に発売予定です!かなりオススメです!!
レルゲンの親切な忠告(ターニャ視点)の通り、帝国に攻め入るダキア軍。航空戦力を持たない彼らに、ターニャが下す鉄槌とは――。
帝国に対して宣戦布告したダキア大公国。その実力は明らかに帝国よりも劣りますが、周辺各国との戦いを余儀なくされている帝国にとってはさらに敵が増えるという受難です。
それなのにターニャ・フォン・デグレチャフ少佐(以下デグちゃん)は満面の笑み。
ダキア大公国は前近代的な軍隊であり、デグちゃんはダキアに航空戦力がないと聞いて「完全武装の軍隊でボーイスカウトを蹴散らす様なもの」と豪語します。それを聞いたレルゲン中佐もびっくり。相手は先鋒だけで大軍5万人の兵力ですから。
実戦開始です。圧倒的な数の差をものともせず、デグちゃんは敵を粉砕します。
5万人の兵力を相手にして、4巻では大隊が「四十八名になった」と書いてあるので、
5万 vs 48人
という状況(通常大隊はもう少し多く600−800人ぐらいのイメージ)。それにもかかわらず制空権を維持する必要がなくて暇になってしまって敵司令部を直撃することにしたデグちゃんです。
たった一個大隊で3個師団をおさえに行く悲惨な仕事、というイメージをつけやすい様に軍隊編成をおさらい。
シンボル | 名称 | 人数 |
---|---|---|
XX | 師団 | 10,000から20,000 |
X | 旅団 | 2,000から5,000 |
III | 連隊 | 500から5,000 |
II | 大隊 | 300から1,000 |
味方の認識は全滅必至の、
数百人の大隊で数万人の師団に立ち向かう時間稼ぎ作戦
(実際にはデグちゃんの大隊には48人しかいない)なんですが、
デグちゃんだけは、
数万人のボーイスカウトか群衆に襲いかかるワンサイドゲーム
だと読みきっています。
近代戦をまだ十分に理解されていない設定ですから、デグちゃんの思想はまさに革命的です。上司も部下もその本意を理解できません。本当の希望は安全な後方勤務なのに、優秀すぎるがゆえに激烈な最前線に回されます。
おそるべき対空陣地に正面から指揮官が先頭で切り込みます。デグちゃん的には物事の本質を見ていないおバカさんな部下に対する教育的指導ですが、怒られているヴァイス中尉にとってデグちゃんはおとぎ話でしか見たことのない、とんでもない英雄行動に見えています。
先鋒を壊滅させたデグちゃんは、さらにダキア首都に直撃を加えようとします。世界初の夜間都市襲撃に踏み切ります。
市民への無差別爆撃を行わないために、せっかく奇襲攻撃のチャンスに国際法に則った避難勧告を行います。デグちゃんの11歳の声で。……サギだ。
ダキアは子供のイタズラだと思って誰も対応しません。
敵の前線を
大隊単独で突破し
首都の軍事施設を直撃だと!?
聞いたこともない!
確かに
英雄的ではあるが
その発想……
いったいヤツは
どんな顔をして……
→遠足から帰ってきたような
11歳、満面の笑みでした!
レルゲン中佐、あぜん。
デグちゃんはレルゲン中佐と分かり合えていると思っています。でもレルゲン中佐はデグちゃんのことを戦争狂としか思っていません。
5巻の終わりは次の戦場は北方ノルデン派遣が決定します。
しかも単に大隊ではなく遊撃大隊と名称変更されています。遊撃って名前がつくだけで”臨時任務や突発自体対応”の専門です。だから遊撃大隊は機動性と戦力を兼ね備えた、いわば戦場の便利屋さんです。
デグちゃんの苦悩はまだまだ続きそうです。すばらしい漫画ですね。圧倒的内容です。すごいおすすめ!!